5シーズンぶりに関東大学対抗戦Aグループに復帰した立教大学がアグレッシブなラグビーを見せている。チームの司令塔を務めるのが、SO岡本力哉(4年生)だ。
10月11日におこなわれた早稲田大学との一戦ではキックを使ってチャンスを演出。「結果を見れば点差が開いたけど、強豪の2チームに対して戦えた部分も多く、今後の試合に向けて、大きな自信をつかむことができた」と振り返った。
岡本は昨年まではBチームにいたが、8月に再開された全体練習のメンバー発表でAチーム入り。「ビックリしたけど、うれしかった」。レギュラーの位置をつかみ、10月4日の明治大学との開幕戦で10番のジャージーを背負った。「最初は恐怖心もあって余裕がなかった」と言うが、落ち着いたプレーでBKをコントロール。出足の良いプレーで相手を苦しめた。
愛知県名古屋市の南陽中学でラグビーを始めた岡本は、花園常連校の中部大春日丘高校に進学。チームは3年連続で花園に出場するも、3年生の愛知県予選で1本のタックルミスが響き、結果、一度も花園のピッチに立つことはできなかった。
「高校でラグビーを辞めようと思ったときもありましたが、自分の中でやり遂げていないものも感じていた。縁もあって立教大学に進学することを決めました」
大学でも公式戦に出場する機会に恵まれず苦しい時期もあったが、努力を怠ることはなかった。「ひたむきに努力を重ねてきた高校時代の経験が大きかった」。昨年、入替戦の成蹊大学との試合前には、仮想・成蹊大学チームとして練習試合をした際に、ゲームリーダーを務め、Aチームの先輩たちに「成蹊大学より強い」と言ってもらえたことが心に響いた。
西田創ヘッドコーチも、「岡本はBチームにいたときでも努力を続けてきた。ゲームプランを着実に遂行できるSOとして、全幅の信頼をおいている」と期待を込める。
「対抗戦Aに昇格させてくれた先輩たちに感謝の気持ちでいっぱいです。そして、このような状況下でラグビーをやらせていただいていることに感謝しています。立教大学ラグビー部は勇敢でひたむきなプレーをモットーに、ダブルタックルや愚直なプレーを最後まで見せる。チームとして対抗戦Aリーグ2勝という目標はありますが、目の前の一試合一試合に集中していきたい」。次戦10月18日の慶應大学戦へ意欲を語った。
そして、その先に楽しみにしている一戦がある。12月5日、対抗戦Aリーグ最終戦の相手となる青山学院大学には高校時代の同級生SO河部周次がいる。「自分のラグビー人生の集大成。高校時代にずっとレギュラーだったライバル。最後に同じピッチに立って勝ちたい。悔いが残らないように思い切り、ぶつかりたい」。
卒業後は一般企業へ就職することが決まっている。「最高の仲間たちと最高のラグビー人生になるように、最後まで感謝の気持ちを忘れずに戦っていきたい」。努力を積み重ね、成長を遂げた立教大学の司令塔の活躍に注目したい。