ラグビーリパブリック

青学大のタックルが王者・早大を苦しめる。「止め続ければ勝機が見える」

2020.10.04

後半も動きの落ちない青学大に、苦しんだ早大(撮影:松本かおり)


 昨季、大学日本一となった早大は、前年度は下部との入替戦に出た青学大に終始、苦しめられた。

 10月4日、東京・秩父宮ラグビー場。関東大学対抗戦Aの初戦である。早大は最終スコアこそ47-21としたものの、青学大のタフなタックルを前に落球や反則を重ねた。

「選手も期するものが大きすぎて終始、固くなっているところがあった。ミスが多くてなかなか流れを掴めなかったですが、開幕戦で勝てたことをポジティブに捉えたいと思っています」

 何とか前向きに総括したのは、勝った相良南海夫監督。敗れた大友孝芳監督は「勝負どころのミスが後々の点数に響いた」としながら、手ごたえも口にした。

「ディフェンスで止め続ければ勝機が見えると話してきました。ディフェンスの勝負は、ある程度、できたと思います」

 昨季は0-92、一昨季は0-123とこのカードで大差をつけられているが、この日は序盤から鋭い出足の防御で早大を敵陣に封殺。指揮官の言葉通りエラーした直後に速攻を許して前半2分に先制されたが、インサイドCTBだった西野稜祐主将の思いは変わらなかった。

「最初の10~15分、ディフェンスのセット(位置取り)、ブレイクダウン(接点でのファイト)へ真剣に取り組む。例年と違う青学大を見せる」

 7分頃、敵陣22メートル線付近右の接点から防御ラインを敷く。球が出るや、その周辺にいた西野らが一気にプレッシャーをかける。早大はたまらず反則を犯す。

 西野は続く13分頃にも、敵陣10メートル線付近右の相手ボールラインアウトからの攻撃へ強烈なロータックルをお見舞いする。相手ランナーは球を落とし、膠着状態を保った。身体のぶつかり合いで引けを取らなかった。西野の実感はこうだ。

「自信になったと思います。サイズは上位校に比べるとかなり小さい。ひとつの局面に相手より多い人数をかけてしまうのは仕方ないのですが、その後の早いセットや準備を心がけています。上位校とのフィジカルの差を埋めるためにかなり時間を割いてきましたが、それでも足りなかった。それを補うための運動量を高めたいです」

 青山学大がタックルで早大の戦士を前に出さないことで、しばし早大の援護役は接点へ入る位置を誤った。その折はたいてい青山学大にペナルティーキックを与えた。大友監督と同じ就任3年目の相良監督は、こう首をひねる。

「ブレイクダウン周りの反則が多かった。判定に合わせていかに修正するかが鍵だった。遠目から見る限りでは、動きながらのコミュニケーションが足りず『誰がボールを持つか、誰がサポートか』というお互いの役割が認識できなかったことがペナライズに繋がった」

 青学大は終始リードされたが、後半3分には19―13と、続く18分には26-21とするなど、点を取られても粘って取り返す意志を示した。

 時間が経つほどに早大の複層的勝つ横幅の広い攻撃ラインにスペースを射抜かれるようになったが、3年生SOの桑田宗一郎の計3本のペナルティーゴール成功、4年の肘井洲太FWリーダーや3年の中谷玲於といったFL陣のハードタックルが何とか勝負を成立させようとした。

 対するNO8の丸尾崇真主将にこう反省させた。

「自分たちから仕掛けないと後手に回ることがよく分かった。ミスを気にせず、アタックマインドを持っていきたいです。(課題は)ファーストプレーで、もっと強く、強く…と行くことです。きょうの試合を来週の試合に繋がるよう、いいところ、悪いところを踏まえてやっていきたいです」

 今季は新型コロナウイルス流行のため活動時間は限られたはずだが、大友監督は「練習量は少なかったと思います。ですが、もともと青学大は練習量が少ないチームです。短時間で質にこだわることを、いままで通りにやってきました」。談話の節々に、身を粉にした西野主将への信頼感もにじませた。

「今年は主将が週ごとにテーマを決めて取り組みました。納得のいく練習ができた」

 11日の第2節では早大が今季昇格の立大へ都内の本拠地で、青学大が昨季1位かつ選手権準Vの明大へ都内の敵地で挑む。

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