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青学21-47早大。敗れるもチーム文化の骨格みせる

2020.10.04

大学選手権出場歴は2回。青学大が攻める時間帯も多かった(撮影:松本かおり)

「止め続ければ勝機は見えると考えていました」

 敗れた青学大の大友孝芳監督が、早大との試合を振り返った。10月4日、関東大学対抗戦の第1節が行われ、秩父宮の第2試合で早大が47-21で青学を退けた。

 後半16分には青学21-26早稲田。PGを加えて5点差に迫った。終盤に早稲田に突き放され、最終スコアは開いたが、存在感は十二分に示した。対抗戦での過去3年の順位は、8チーム中、7位、6位、7位。昨年の早大とのスコアは0-92、一昨年は0-123のカードである。昨季大学王者を相手に、着実な成長を見せている。

「自信になりました」と、CTBの西野稜祐主将。違いを見せた戦いだった。

過去の自分たちとの違いだ。

 10-19で迎えた後半序盤に3点を加えるPGを放った。13-19に。相手反則を誘ったのは果敢な幅の広いアタックだ。縦の走り込みで相手に圧力を加えながら、タッチライン際まで思い切ってボールを動かし走るスペースを作った。後手を踏んだ早大のディフェンダーの腕はつい、青学のアタッカーの肩にかかってしまった(ハイタックルに)。

 その後1T1Gを失って13-26に。ここでも闘志はしぼまず、51分には1Tをお返しして見せた。56分にもPGを加えて21-26と食らいついた。

 51分のトライは、相手にボールを奪われてのディフェンス場面で、早い反応で再びボールを得て攻め切ったものだ。相手のファンブルしたボールを足にかけたFL肘井洲大がゴール前まで走り、タックルから起き上がったばかりの桑田宗一郎が相手のいないサイドをよく見てサポート。早大の守備に準備を許さない、早い仕掛けでもぎ取ったトライだ。

 後半途中まで勝負に持ち込むことができたのは、こうした局面での踏ん張りだった。

 そして、試合を通じて相手に圧力を与えていたのは相手反則を誘発した、早いサポートだ。

「密集への寄りが、相手の方が早かった。それを話していたが、修正できなかった」という早大・丸尾崇真主将。

 一方、青学の大友監督は去年とのディフェンスの違いに、「タックル、ブレイクダウンへの、セカンド、二人目の素早い寄り」を挙げた。「きょうは、そこはよくできたと思います」

 青学のFLは肘井洲大と中谷怜於はともに160㌢台の小兵選手。この日は二人ともハンターのように働き続けて、持ち味を発揮した。それがチームの健闘に直結した。深い踏み込みのタックル、密集の二人目の早さ。ボールへの執着、プレーへの貪欲さがメンバーに浸透しつつあることを、初戦で体現できたことは大きい。

大友監督は就任3年め、部の文化の再建に取り組み、辛抱強く待ち、今年はまた一歩変化を感じている。

「試合途中まではプラン通りにいっていました。勝負どころのミスが、あとあと、響いた。ディフェンスの勝負はある程度できていた」(大友監督)

来週、青学大の対戦は明大。立ち上がる早さ、タックル、思い切ったアタックなど、部の文化をまた見せる。