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関東大学ラグビー開幕! 筑波が慶應に競り勝つ。昨季日本一の早稲田は青学に苦戦

2020.10.04

慶應戦勝利に貢献し、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた筑波の植村陽彦(撮影:松本かおり)


 新型コロナウイルスの影響で、国内では春からしばらく楕円球のゲームが実施されず、ラグビーを愛する人たちにとっては待ち遠しかったキックオフに違いない。10月4日、関東大学ラグビーの対抗戦Aとリーグ戦1部が一斉に開幕した。
 コロナ感染症対策として、多くは無観客での開催、有料試合でも入場人数に制限はあるが、2020年度シーズンが本格的にスタートした。

 東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれた対抗戦Aのオープニングゲームは、筑波大が慶應義塾大との熱戦を30-19で制した。

 先制したのは、昨シーズン筑波などに敗れて全国大学選手権出場を逃し、雪辱に燃えた慶應だった。前半6分、FL山本凱がゴール前のピック&ゴーからラインを越え、今季最初のトライを挙げた。
 対する筑波は15分、敵陣22メートルライン付近でループを交えたバックラインの連係からWTB仁熊秀斗が鮮やかに抜け、得点。コンバージョン成功で逆転した。その後、筑波はPGでも加点し、10-5で折り返した。

 筑波は後半早々、ラインアウトからのムーブでCTB谷山隼大からオフロードパスをもらったFB植村陽彦が抜け出し、約40メートル走り切って点差を広げた。1年生の谷山はこの日、ディフェンス、ブレイクダウン、そして果敢なハイボールキャッチでも魅せ、華々しいデビューとなった。

 12点差とされた慶應は、ベンチにいたニュージーランド人留学生を2人同時投入し、58分(後半18分)、ゴール前の攻防からFLアイザイア・マプスアがパワーでトライを取り切り、点差を詰めた。

 しかし筑波はリスタート後まもなく、またもFB植村がしなやかな走りで慶應のディフェンスを切り裂いてゴールに持ち込み、突き放す。
 守りでも奮闘した筑波は、終盤にはSO山田雅也のPG2本成功でリードを広げ、試合終了間際に慶應に1トライを許したものの、開幕戦勝利となった。

青学戦の序盤にブレイクスルーした早稲田の古賀由教(撮影:松本かおり)

 秩父宮でおこなわれた第2試合には、前年度の大学日本一である早稲田大が登場した。昨季入替戦も経験した青山学院大とぶつかり、大勝が予想されたが、後半に一時5点差まで詰められるなど苦しみ、それでも終盤にトライを重ねて47-21で今季初戦を制した。

 早稲田は序盤、ラインアウトからの攻撃でWTB古賀由教が抜けてFL田中智幸のトライを演出。その後、しばらくスコアボードは動かなかったが、27分にゴールに迫り、PR小林賢太が突っ込み追加点を挙げた。小林は2分後には走りで魅せ、自陣からのビッグゲインが古賀のトライにつながった。

 しかし、この試合でスタジアムを沸かせたのは青山学院の方だった。35分、WTB衣笠竜世がインターセプトから約80メートル走り切り、早稲田から3季ぶりの得点となった。その後、青学はPGでも加点し、19-10(早稲田リード)で折り返した。

 後半早々にも青学のSO桑田宗一郎にショットを決められ6点差に詰められた早稲田は、48分(後半8分)、FB南徹哉のカウンターを機にテンポよくボールを動かし、右外でもらったWTB槇瑛人がディフェンダー2人を振り切って点差を広げた。

 しかし52分、早稲田のパスが乱れ、ルーズボールに足をかけて確保した青学のFL肘井洲大がゴール目前まで前進、仲間がサポートに入ってすばやいリサイクルからSO桑田がトライゲッターとなり、再び流れを変えた。青学は58分にもPG成功で5点差につめた。

 それでも早稲田は底力があり、61分に敵陣深くに入ってSO吉村紘がインゴールに持ち込みリードを広げると、終盤さらに2トライを追加し、苦しみながらも勝利を手にした。

 対抗戦Aではそのほか、連覇を狙う明治大が、5シーズンぶりにAグループに昇格した立教大を73-15と圧倒。
 3季ぶりの全国制覇を目指す帝京大は、日本体育大に98-10で快勝している。

 関東大学リーグ戦グループは、3連覇を狙う東海大が、3シーズンぶりに1部復帰となった関東学院大を52-24で下して白星発進。
 昨季2位だった日本大は中央大と今季初戦でぶつかり、16点ビハインドから終盤に3連続トライで逆転し、33-28で競り勝った。
 日大と同じく、昨年度の大学選手権でベスト8だった流通経済大は、法政大を相手に28-10で勝点4を獲得している。
 そして、埼玉・熊谷ラグビー場Bグラウンドでおこなわれた試合は、専修大が大東文化大を29-19で下した。