ラグビーリパブリック

たどり着きたい場所は一つ。早稲田、「荒ぶる」への闘争心

2020.10.01

FL相良昌彦(2年)は昨年よりも一回り以上大きくなって迫力増す(撮影:福島宏治)

 唯一、大学選手権での連覇を目指す権利を持つ。

 その事実は、チームを走らせるエナジーになることはあっても、決して重荷にはならない。早稲田大学ラグビー蹴球部を率いて今季が3年目となる相良南海夫監督は、「コロナ禍の中で、何が起こるか分からないシーズン。そういう中で、自分たちがたどり着きたい場所をしっかり持ち続けることが大事」と話す。

「そういう意味で連覇は、自分たちの行き着くところという意味で分かりやすいかもしれません。シーズン途中で何が起ころうと、最終的に頂点にいようとするなら、一喜一憂することなく前に進める」

 この夏、菅平での合宿は実施できなかった。例年と比べて準備のボリュームは少ない。指揮官は、「シーズンを戦いながらチーム力を高めていくイメージ。だからこそ目指すところを絶対に見失わない」と言う。

 もっとも、丸尾崇真主将は「今年の優勝、今年の日本一、今年の荒ぶるを目指す」とシンプルだ。

「連覇のプレッシャーはゼロ。純粋に、この一年を戦う。勝たなければいけないのではなく、勝ちたい」

 キャプテンは上井草で練習を積み重ねたこの夏、今季のチームスローガンである「BATTLE」に込めた思いをあらためて仲間に伝えた。

「夏合宿の試合でアピールしようと思っていたのに…と嘆くのではなく、練習で自分が超えたい相手を倒せばいい。それを繰り返せば必ずAチームで試合に出られる」

 シーズン前の実戦は福島で戦った流経大との練習試合と、上井草で実施した大東大との試合形式の合同練習ぐらいも、日々高めてきた闘争心がチーム力を引き上げる。

 昨季のメンバーからSH齋藤直人(現サントリー)、SO岸岡智樹(現クボタ)、CTB中野将伍(現サントリー)という大駒が抜けた。チームの頭脳だったハーフ団と、相手防御に穴を開けるペネトレーターだ。

桐蔭学園出身のルーキー伊藤大祐。プロ選手のような自己教育力(撮影:福島宏治)

 今季は、3人の担っていた働きを全員で実行する。SHを争う河村謙尚、小西泰聖、SO吉村紘、伊藤大祐(伊藤はCTB候補も兼ねる)らはアウトサイドからの声(情報)を判断の材料にしながら、個々の才を発揮する。1年時から左WTBを任される古賀由教は、「昨年まで中野さんにボールをもらうと前に誰もいない状況が多かった。今シーズンは自分で抜きたいし、オフロードパスで周囲を走らせる役にもなりたい」と進化形を口にする。

卓抜した判断力と球技センスを兼ね備えたSO吉村紘(2年)。局面での戦闘能力も高い(撮影:福島宏治)

 FWは久保優、小林賢太の両PRが安定感を見せ、HOには昨年はリザーブ席からの出場が多かった宮武海人が入りそうだ。息は合っている。

 経験値の高いLO下川甲嗣副将はラインアウト、ブレイクダウン、ボールキャリーと見せ場の多い選手。コンビを組むのは機動力のある大﨑哲徳、191センチと長身の星谷俊輔が有力だ。

 バックローでFL相良昌彦、NO8丸尾主将と組む枠を、田中智幸、坪郷智輝ら小柄なファイターが狙う。

 13番の長田智希がミッドフィールドで頼りになるBKは、FB河瀬諒介の調整が遅れており、開幕は南徹哉副将が最後尾に立ちそうだ。12番は中西亮太朗が狙い、14番では槇瑛人が思い切りのいい走りを見せている。

 丸尾主将は「早稲田クオリティーを追求する」と話し、自分たちの理想とするスタイルを精度高くプレーすることを誓う。

 昨シーズン終盤、関東大学対抗戦での早明戦敗戦後に自分たちを見つめ直し、そこからチームが進化する道程を経験できたのは大きい。今季は最初から、その道の続きを歩むつもりでいる。

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関東大学対抗戦/関東大学リーグ戦  

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