ラグビーリパブリック

福岡がファン1300人を前にトークショー。日本ラグビー界の今後を語る。

2020.09.28

短い時間だったが真摯に答えた福岡。インタビュアーは小川綾乃アナウンサーが務めた(撮影:BBM)


 ラグビーW杯開催1周年の記念イベントが27日、静岡・エコパスタジアムにて開催され、アイルランド戦で逆転トライを挙げた福岡堅樹(パナソニック)がトークショーをおこなった。イベントには1300人を越えるファンが集まり、スタジアム内は大いに盛り上がった。

「ただいま…でいいのでしょうか(笑)」

 インタビュアーを務めた小川綾乃アナウンサーから「おかえり!」との声から始まったトークショー。福岡は照れながら答えた。

 ラグビーW杯から1年経ったことについて福岡は「もう一年経つんだなと、あらためて実感させられました。それでもあの時の熱は昨日のことのように思い出せますし、大きな思い出として残っています」。

 続けてアイルランドを破ったスタジアム、エコパにも触れ、「ここでのあの試合、あのトライから日本の歴史を作るスタートになったという意味で、とても思い入れが強くなったスタジアムです。ここに来ればいい試合ができるというイメージがあります」と静岡のファンを喜ばせた。トークショーを聴きに駆けつけた多くのファンが、1年前の福岡のトライをエコパスタジアムで見ていた。

 一方、ベスト8進出を決めて臨んだ決勝トーナメント、南アフリカ戦についても話し、日本ラグビー界の今後の課題をこう語った。

「ラグビー普及のためには強い日本代表を作ることがまずひとつだと思います。ベスト8という目標は達成できましたが、南アフリカからベスト8を目指しているチームとチャンピオンを目指しているチームの違いを感じました。

 具体的に言うと、僕たちは予選を100%のフルメンバーで挑まなければ勝ち上がれなかった。でも南アフリカはうまくメンバーを入れ替えながら勝ち上がって、決勝トーナメントにも余力を残して戦うことができていた。控えの選手、31人全員で戦えるようなチーム、全体の底上げが必要だと思います。

 そのためにはラグビーの人口が増えることがまず大事ですし、ひとつひとつのスクールで基礎をしっかりと学ぶことが大事です」


 トークショーの前のセレモニーでも、「これだけラグビームードが高まる中で、試合を見せられないのは残念なことですが、逆に言えば大会ができてよかった。ここから先、熱を冷まさないようにできるかは僕たち次第。時間が空いても同じパフォーマンスをできれば、きっと試合を見にきてくれる。ラグビー熱をもう一度高められると思っています」と話していた。

 またトークショーでは中学3年生まで習っていたピアノにも言及。姉の影響で始めたが、0歳の時からピアノの下をハイハイしていたという。

「リズム感はステップで多少影響しているかもしれません。あと、ジャッカルは指でしっかりボールをグリップする(掴む)ことも大切なので、その指の強さも活かされているかも…。なきにしもあらずです(笑)」

 静岡のラグビー聖地化にむけては、「魅力を皆さんに知ってもらうことが大切なので、ヤマハが強くなることも一つかなと思います(笑)」と地元チームへ挑発。「僕たちはそうさせないためにも頑張らないといけないんですけど、お互い凌ぎを削って、高め合えればと思います。日本代表がきっかけでラグビーを好きになってくれた人はヤマハという素晴らしいチームがあります。どんどん詳しくなってもっと好きになって欲しいです。ただ僕はパナソニック ワイルドナイツなので、よかったらそちらの応援もぜひお願いします」と締めくくった。


イベントには1300人を越えるファンが駆けつけた(撮影:BBM)

トークショー終了後、端から端まで手を振って歩く福岡(撮影:BBM)


 イベントでは、トークショーのほかにもスタジアム施設内に「シズオカ・ショック」パネル展示を開設。エコパスタジアムで行われた全4試合の写真やアイルランド戦で実際に使用された人工芝が設置された。


写真だけでなく海外メディアの記事の切り抜きも展示された(撮影:BBM)

(左上)密集戦でHポールカバーが破損。その直後に福岡のトライが生まれた。
(右下)福岡が実際にトライを置いた場所(撮影:BBM)