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高校生に笑顔と希望が戻ってきた! コロナ禍乗り越え九州でラグビー再開

2020.09.22

優勝の賞状を受ける福岡レディースの山本彩花選手。大会スタッフもコロナ対策は徹底していた


「選手はもちろん、チームの関係者、そして保護者の方たちも待ち望んでいたと思います。それに応えることができ、非常に喜んでいるところです」
 そう語る九州ラグビー協会の御領園昭彦 理事長は、安堵の表情を浮かべ、それでもまだ少し緊張感もあった。

 九州のラグビー界が動き出した。

 2020年の春と夏、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により国内でも多くの大会が中止を余儀なくされたが、9月19日、福岡県の春日公園球技場で「第2回九州U18女子セブンズラグビー大会」が開催された。
 当初8月に予定していたこの大会は、練習不足および安全確保の観点から延期となっていたが、日本ラグビー協会より通達があった「再開のガイドライン」に基づいて各チーム・学校がきちんと行動し、九州協会の高校委員会を中心に納得できる安全対策がとられたため、開催可能となった。
 九州協会主催大会としては、今年度初開催の大会である。

「ラグビー関係者はもちろんですが、昨年のワールドカップは九州でも盛り上がりましたし、にわかファンの方々もラグビー再開を待っていたと思います。その思いにいつになったら応えられるのかと、私たちも非常にもどかしかった。ようやくここまでこれたというのが実感です」(九州ラグビー協会・御領園理事長)

 当日は、事前登録したスタッフとチームしか入場できないようにし、取材関係者に対してもコロナ対策として多くのチェックがあり、受付では検温を実施。手の消毒とマスクの着用も徹底された。観客席の制限はなかったが、来場者は名前と連絡先を記入し、検温をおこなった後にリストバンドを装着することが求められ、大会開始前に再度、ソーシャルディスタンス(隣の人との距離確保)をお願いするアナウンスがあった。

 参加したのは6チーム。Aパートでは福岡レディース、佐賀工業高校、合同Aチーム(SWEETIE LADY BEARS・鹿児島女子ラグビーチーム・東筑紫学園高校)が総当たりで競い、Bパートでは長崎レディース、富島高校(宮崎)、合同Bチーム(大分東明高校・筑紫高校・城東高校・浮羽究真館高校・東筑高校・北筑高校・福岡高校・筑紫台高校)が熱戦を繰り広げた。

ラインアウトから攻めるオレンジジャージーの合同Aチーム
Bパートで優勝した宮崎県立富島高校の選手と監督
PKから速攻を仕掛ける赤いジャージーの福岡レディース。佐賀工との試合は熱戦となった

 結果、Aパートは福岡レディースが1位、Bパートでは富島高校が優勝し、この2チームは10月23日から埼玉県で開催予定の「第3回全国U18女子セブンズラグビー大会」に九州協会代表として推薦される。

 福岡レディースのキャプテンである大内田夏月選手(筑紫高校)は、膝の負傷により今大会には出られなかったが、「コロナでいろいろ大変なこともありましたが、自分たちがやってきたことが出せてよかったです」と仲間の奮闘を喜んだ。

 今年は目標としていた春の「サニックス ワールドラグビーユース交流大会」、夏の「KOBELCO CUP 第10回全国高校女子合同チームラグビー大会」が中止となった。大内田選手は、「ずっと3年間それを目指して頑張ってたんですけど、コロナの影響で最後の最後に行けないとなって……、つらかったです」と振り返る。

 負傷の大内田キャプテンに代わって九州U18女子セブンズで福岡レディースをけん引した山本彩花選手(東海大学付属福岡高校)は、「大会はできないし、選手もみんなで集まれなくて、それがつらかったです」。いろいろな学校から選手が集まる福岡レディースは週に一度しか一緒に練習できない。今年、長期の活動自粛を経て、チームとして練習を再開できたのは6月に入ってからだった。

 10月の全国U18女子セブンズは彼女たちがいちばん目標としていた大会だ。
 この大会は、どうか予定通り開催できるようにと祈る。

 山本選手は、「みんなでもっとチーム力を高めて、優勝を目指して頑張りたいです」と意気込む。
 膝が完治するまで9か月かかると言われ、手術を受ける大内田選手はその全国大会にも出られないが、「外から盛り上げることはできると思いますし、もっとみんなのことを見て、全力でサポートできたらいいなと思います」と明るく話した。

 ラグビーを愛する高校生たちに笑顔と希望が戻ってきた。

 第100回全国高校ラグビー大会(花園)の予選は、九州では福岡県が先陣を切り、9月27日からおこなわれる予定。