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ラグビー王国NZの代表候補たちが燃えた! 伝統の南北対決は熱闘、劇的な結末

2020.09.06

ウィル・ジョーダン(右から3人目)が劇的な逆転トライを決め、歓喜の南チーム(Photo: Getty Images)


 8年ぶりに開催されたニュージーランド伝統の試合は、オールブラックス候補たちによる真剣勝負の熱戦となった。
 同国の北島と南島の選抜チームに分かれて激突する「North vs South」が、9月5日にウェリントンのスカイスタジアムでおこなわれ、スーパーラグビー アオテアロアで優勝したクルセイダーズの選手が多く名を連ねた南チームが38-35で熱闘を制した。手に汗握る攻防は80分を過ぎ、劇的な逆転ゲームだった。

 1897年からの歴史があるこの伝統試合の通算成績は、81回目の対決を制した南チームの28勝目、北チーム50勝、3引き分けとなった。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため無観客試合となったが、ニュージーランド代表“オールブラックス”の選考を兼ねたトライアルマッチでもあり、時にはエキサイトするガチンコ対決、ハイレベルなパフォーマンスが繰り広げられた。

 キックオフボールをキャッチした北チームの21歳WTBケイリブ・クラークがいきなり40メートルのビッグゲインを見せれば、代表経験豊富なSOボーデン・バレットとCTBリーコ・イオアネは見事な連係プレーで北チームに先制点をもたらした。リーコ・イオアネは後半にも鋭い走りで2トライ目を挙げるなど躍動した。
 北チームは、前半18分にはWTBクラーク、CTBイオアネ、SHのTJ・ペレナラ、FBダミアン・マッケンジーとつなぐ見事なサポートプレーを披露。新星と期待される22歳のNO8ホスキンス・ソトゥトゥは、前後半にわたって運動量豊富で、ダイナミックな走りとオフロードパスが光った。

力強い走りを披露した北チームのケイリブ・クラーク(Photo: Getty Images)

 一方、南チームの背番号8をつけた26歳のトム・サンダースもパワフルな突進などでアピールした。クルセイダーズのチームメイトである22歳のFLトム・クリスティーはブレイクダウンでターンオーバーを連発。
 BKでは、CTBジャック・グッドヒューが果敢に空中戦に挑んでボールへの執念も見せ、スーパーラグビー アオテアロアでトライ王になるなど今年ブレイクした22歳のWTBウィル・ジョーダンはルーズボールを拾ってから50メートル独走トライを決めるなど、この試合でも輝いた。

 試合は北チームの4点リードで終盤に入った。78分(後半38分)、南チームがゴールに迫ったが、北のFLアーディー・サヴェアがブレイクダウンでからんで相手の反則を引き出し、ピンチを脱出。
 このままフルタイムを迎えるかと思われた。
 しかし、南チームは80分を過ぎても執念を燃やしてアタックを繰り返し、敵陣深くでFWが渾身の力をふりしぼりモールでアドバンテージをもらうと、ボールを手にした途中出場のSOジョシュ・イオアネが右のスペースへライナーのキックパスを放ち、身長188センチのWTBジョーダンが174センチのBKミッチェル・ハントとの空中戦に競り勝って逆転トライを決め、白いジャージーを着た南チームの男たちが歓喜した。

 ラグビー王国ニュージーランドの誇り高き選手たちが激しくぶつかった伝統の試合は、38-35でノーサイドとなった。

試合後、両チームの選手たちが一緒に円陣を組んだ(Photo: Getty Images)