「中止じゃなくて、延期ということを聞いて、よかったなって思いました。オリンピックに出るのを目標にしてやっていたので。延期になったというのは、出るチャンスはあるということなので」
男子7人制ラグビー(セブンズ)日本代表候補のひとりである合谷和弘は、8月24日の練習後におこなわれたオンライン合同取材でそう言った。新型コロナウイルスの世界的大流行により2021年夏に延期となった東京オリンピックを目指し、候補選手たちは厳しい環境と酷暑のなかでトレーニングに励んでいる。今夏の強化合宿は3回目。参加メンバーは東京と大分に分かれ、24日から新たに始まった。
「少人数ではありますが、ラグビーができているという喜びを感じています。そんなにがっつりとした練習はまだできないですが、徐々にレベルアップできていったらいいなと思っています」
まだ確定ではないが、9月に入ったらチーム全体での練習を予定しているという。「早く全員でやりたい」と合谷は言った。
新型コロナウイルスの感染拡大で活動自粛を求められていた期間、合谷は所属するクボタスピアーズの施設も使えず、思いきって本格的なトレーニング器具を自分で購入し、体を鍛えていたという。
「基本的なことは全部できるような器具をセットで買いました。何もしないのがイヤだったので、自分でできることをやろうと思って」
身長170センチ、体重77キロ。体を強くするには、いまがチャンスだと思った。以前負傷した肩は、もう不安はない。自国開催オリンピックでの代表入りとメダル獲得を目指し、覚悟をもって挑み続けている。
合谷は2016年リオ・オリンピックでベスト4入りの快挙を遂げた日本代表メンバーのひとりだ。桑水流裕策や福岡堅樹といった前回大会の経験者が離脱したいま、貴重な存在である。
「リオのときのチームはすごく団結力がありましたが、いまのチームの方がラグビーを通して(一緒に)過ごしている時間が長い。そういった点ではいまの方が私生活でもより仲がいいかもしれません(笑)」
リオ大会では最終登録メンバー12人のなかで最年少だった合谷。いまは27歳で中堅となり、グラウンドの中でチームを引っ張っている。
新型コロナウイルスがいつ収束するかはわからず、1年後に東京オリンピックが開催されるかどうかも不透明な状況だ。しかし、合谷はしっかり準備するだけだと強調する。
「まだ確実ではないですけど、2021年に東京オリンピックが開かれることに対して嬉しく思っているし、そのチャンスを1年後にいい形で迎えられるように、この準備期間を楽しみたいです。自分はもっと成長できるんじゃないかと思っています」