ラグビーリパブリック

レイドローから学ぶ!「今、僕たちができること」

2020.08.24

まずはプレーヤーとしてベストを尽くす、それからキャプテンのことを考える(Photo Getty Images)

 居ても立っても居られなかった。後輩たちのために、ラグビーのために何かできることはないだろうか。一橋大ラグビー部のOBと東大ラグビー部のOBが動いた。

 東大ラグビー部と一橋大ラグビー部が8月21日、関東大学対抗戦Bの開幕に向けたキックオフ特別セッションをオンライン上で開催した。「ラグビーレジェンドと語る『今、僕たちができること』」と題し、ゲストで元スコットランド代表キャプテン、グレイグ・レイドローが参加した。レイドローは7月にNTTコミュニケーションズシャイニングアークスへの加入を発表している。コロナ禍でのモチベーションやリーダーシップなど、主催者の代表質問を含め、両校部員の質問に答えた。

東大ラグビー部と一橋大ラグビー部の学生たち約100人がレイドローの話に聞き入った(撮影:BBM)


 学生の胸に響く答えがいくつもあったのではないか。すべてが金言だった。

 スコットランド代表として76キャップを重ね、そのうち39試合でキャプテンを務めてきたレイドロー。長年キャプテンを務めた経験からリーダーのあるべき姿をこう語った。

「リーダーシップに関して、特に若いときに学んだのは、リーダーは責任を背負い込みすぎてしまうということです。ひとりで背負うのではなく、チーム全体でのリーダーシップが必要。特にキャプテンと周りの4、5人のリーダーグループが強いリーダーシップを持てば、チームがまとまります。

 ひとりですべてを決断するのは難しい。大きな決断を迫られたときに、強いリーダーシップを持ったリーダーグループがいれば、試合で役に立つということを長年かけて学んできました。

 もうひとつは、ラグビープレイヤーとして良いパフォーマンスを出すことです。まずは自分の仕事をこなして、ベストを尽くす。プレーの面ができてから、キャプテンとしてのことを考えています」

 選手としての申し分ないキャリアがそれを証明する。2015年にはワールドカップでも活躍し、ワールドラグビーの年間最優秀選手賞にノミネートされた世界最高峰のスクラムハーフである。トッププレイヤーとして大切なことも教えてくれた。

「毎日の練習、そして毎週の試合に、どれだけベストの状態で挑めるかをモットーにしています。(僕は)誰も見ていないところで何時間も何時間も努力、練習を重ねてきた。だから(特にキックに関しては)、どんなプレッシャーでも蹴らなければいけない場面では、集中力を切らさず、周りのプレッシャーをすべてシャットアウトして、いいメンタルでキックを蹴れる。自分のキックの成功率、精度には誇りを持っています。

 練習試合とテストマッチを同じモチベーションで臨むのは難しいことですが、そうしたプレーする機会をテストマッチと同じ感覚で臨めるかどうかが、トップになれるかなれないかの差だと思います」

 一方、順風満帆に見えるラグビー人生の中でも、ラグビーが嫌いになったことがある。

「スコットランド代表に選ばれてすぐはレベルの高さに着いていけず、嫌いになりました。でもそうした敗北感を味わったときは、いったんラグビーから離れて、違った視点で自分を見ることが大切です。自分にとって何が一番重要なのか、ラグビーをする意味は何なのか、人としてどう見られたいのか、をじっくり考えてからラグビーに戻ることが重要です」

(つづく)