チケット完売のイーデンパークで最高のフィナーレになると予想されていた「スーパーラグビー アオテアロア」の最終戦、ブルーズ対クルセイダーズ戦は、中止が決定した。ニュージーランドで102日ぶりの感染者がオークランドで確認され、新規感染が増える可能性があるオークランドは警戒レベルの高いロックダウン(人々の外出や行動を制限する措置)が延長されることになったため、中止が決まった。
ジャシンダ・アーダーン首相がリーダーシップを発揮し、新型コロナウイルス感染拡大防止へ厳格な対策をすばやく実行して封じ込めに成功したニュージーランドでは、市中感染ゼロの状態が100日間以上続いていたが、8月11日、102日ぶりに4人の感染が確認された。4人は、ブルーズが拠点とするオークランドに住む家族で、アーダーン首相はオークランドの警戒レベルを12日から3日間、4段階中で2番目に高い「3」に引き上げ、ロックダウンを再導入していた。しかし、4人の感染者と関係があった人物など新たに14人の感染者が判明し、増加傾向にあり、保健当局は14日、感染が市外にも広がっていることがわかったと発表。警戒レベルは下げられず、ロックダウンは8月26日まで延長となった。
NZヘラルド紙によれば、ブルーズはオークランドの警戒レベルが1または2に移行した場合のみ、今週末の試合を開催できることになっていたという。12日からチームとして一緒にトレーニングをすることができず、個別でクルセイダーズ戦へ向け準備していたが、14日、政府によって警戒レベル3のロックダウンが延長されたため、ニュージーランドラグビー協会は試合中止を公式に発表した。
この試合は引き分け扱いとなり、両チームには勝点が2ポイントずつ与えられる。
今年、国際リーグのスーパーラグビーが新型コロナウイルスの世界的大流行により3月中旬で中断、再開できなくなり、ニュージーランドでは代替大会として国内の5チームによる「スーパーラグビー アオテアロア」を開催してきた。先週末にクルセイダーズが優勝を決めていたが、ブルーズも今季好調で優勝を争い、8月16日にオークランドのイーデンパークで開催予定だったブルーズ対クルセイダーズ戦は4万3236枚のチケットがすべて売り切れていた。
また今年は、ブルーズにレジェンドのダン・カーターが新加入し、古巣相手にプレーする勇姿を初めて見られるかもしれないと期待したファンも多かったに違いないが、そのチャンスもなくなってしまった。
中止になったことにより、ブルーズとニュージーランドラグビー協会の損失は最大100万ドル(約7000万円)になる可能性があるという。
ブルーズはクルセイダーズ戦を場所を移して開催する可能性も探っていたが、政府はブルーズがオークランドから移動することを認めなかったとニュージーランドのメディアは伝えている。
また、オークランド以外の地域の警戒態勢も「レベル2」に上がって100人を超える集まりが禁止されており、8月15日にダニーデンで予定されているハイランダーズ対ハリケーンズ戦は開催されるものの、無観客でおこなうことが決まった(キックオフは現地時間、午後7時5分 → 午後3時5分に変更。ハリケーンズは当日朝に現地へ向かい、日帰りとなる)。
ニュージーランドラグビー協会のゼネラルマネージャーであるクリス・レンドラム氏は、「スーパーラグビー アオテアロアの最後の祭典として、ハイランダーズ対ハリケーンズ戦が開催されるのはすばらしいことです。反対に、ブルース対クルセイダースの試合が中止になったことは誠に残念ですが、私たちは皆、これに関する政府の決定を理解し、支持しています。両チームは満員の観客の前で、大会を通して見事なラグビーをプレーしました。ニュージーランドラグビーを代表して、この2チームだけでなく、5つのすべてのスーパーチームをサポートしてくれたすべてのファンに感謝します。それは信じられないほどでした」とコメントした。
8月29日にはニュージーランド代表“オールブラックス”のトライアルゲームとされる「North(北) vs South(南)」の試合がイーデンパークで予定されているが、オークランドでのロックダウンが8月26日以降にレベル1に下がらない場合、会場変更、日程変更、あるいは中止の可能性もありえる。