クルセイダーズは強かった。8月9日、地元クライストチャーチでハイランダーズとの激闘を32-22で制し、「スーパーラグビー アオテアロア」で2位のブルーズを突き放す6勝目を挙げ、最終節を待たず、ニュージーランドのチャンピオンとなった。
今年は新型コロナウイルスの世界的大流行により国境を越えるスーパーラグビーは続行不可となり、南アフリカ、オーストラリア、アルゼンチン、そして日本のチームと戦うことはできなくなったが、ラグビー王国ニュージーランドのライバル5チームが激しくぶつかり合った「アオテアロア」は世界最高峰と呼ぶに値する熱戦だった。2017年からスーパーラグビーの頂点に君臨し続けているクルセイダーズは、4年連続11回目のタイトル獲得である。
優勝が懸かった試合。約1万8000人収容のオレンジセオリースタジアムは満員となった。
挑戦者のハイランダーズはタフなチームだった。クルセイダーズは開始1分でゴールラインを割られ、やられたらやり返し会場を沸かせたものの、ハイランダーズはブレイクダウンの激しいファイトで何度も流れを変え、勇敢で粘り強いディフェンスは赤いジャージーの王者を苦しめた。
前半は13-17。クルセイダーズは4点ビハインドで折り返した。
後半の序盤、クルセイダーズが自陣からの鮮やかなカウンターアタックでボールをつなぎ、SHブリン・ホールがゴールに迫ったが、ハイランダーズのWTBジョシュ・マッケイが懸命に追って落球させ、トライを許さなかった。すでに優勝争いから脱落していたハイランダーズだが、誇り高く戦い、南島のライバル対決は新たな名勝負となった。
その後、ハイランダーズが先に追加点を奪い、その差は9点に広がる。
しかし、クルセイダーズはラスト20分間の戦いに強かった。
61分(後半21分)、スピーディーなアタックをWTBジョージ・ブリッジがフィニッシュし流れを変えると、リスタート後まもなく、LOルーク・ロマノからオフロードパスを受けたSOリッチー・モウンガがブレイクスルーでチャンスメイク、FBウィル・ジョーダン、WTBブリッジとつなぎ、連続トライで逆転した。
その攻防中に反則行為があったハイランダーズの選手にイエローカードが出され、数的有利となったクルセイダーズは75分にもトライで追加点を奪い、勝負あり。
6勝1敗となり2位のブルーズに勝点6ポイント差をつけたクルセイダーズが、8月16日の直接対決(最終戦)を待たず優勝を決め、クライストチャーチは歓喜となった。