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【動画メニュー】桐蔭学園、最高基準のジミ練[9] オフロード

2020.07.17

桐蔭学園の基礎練習はとても「地味」。グラウンド・ワークはルールとの関連も深い。テクニックにも逐一更新がかかっている(撮影:長岡洋幸)

 全国高校大会優勝校・桐蔭学園高校のふだんの練習を紹介する。最終・第9回も、桐蔭が近年取り入れるようになったオフロード。桐蔭学園のこだわり練習の共通点は、地味なこと。単調にも見えるドリルに、無数の判断(ジャッジ)とイメージ、ノウハウが詰まっている(完全版はラグビーマガジン2020年4月号、6月号に)。*取材は、2月初旬に行いました。コンタクトプレーや飛沫の可能性のある練習は、指導者の適切な判断と指導のもと、行ってください。(編集部)

監修・藤原秀之▼桐蔭学園監督 文末にまとめコメントあり

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MENU D-04 オフロード・倒れてゴロゴロポップ       

ショートステップでずらしにいく。両手ともフリーの状態。サポートがまだ来ない。ボールを地面と体で挟む「サンド」で倒れる。ジャッカルを受けないよう、ゴロゴロと横へ1回転(ロール)。サポートを目で確認し、ポップパス

やり方
・先頭がディフェンス、2番目がボールキャリアに
・後ろ2人が少し遅れた想定。キャリアは倒れる
・ボールを地面で挟み、さらにゴロゴロと横へ1回転(ロール)
・そこから、ポップパス!
・サポートが加速しつつキャッチ(写真は1人目のサポートがキャッチした場合)

実戦をメージする
サポートが少し遅れた場合や、相手のタックルが強く、キャリアが倒されてしまった場合に、どんな対応をするか。バタンと倒れてしまえば相手のジャッカルの餌食になるため(写真のイメージ)、まず、ボールを体と地面で挟む。次に、前進の勢いがあればロールをして、ディフェンスの手がボールにかからないよう、時間を稼ぐ。

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MENU D-05 オフロード・倒れてゴロゴロポップplus判断  

やり方
・同じく味方がやや遅れた想定
・サンド、ゴロゴロのあとのポップパスを「2人目」のサポートへ

あえて、深い方のサポートにパスする
なるべくラックを作らない。「死に体」にならずにボールをつなぐ。ここでは、倒れた後のポップパスを、直近の選手ではなく、あえて2人目の選手に。2人目は位置が深い分、スピードを持って入ることができる。さらに1人目の選手がデコイ(おとり)の役割を果たし、ただつなぐだけでなく、さらに大きなチャンスになる。

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桐蔭WORDS まとめ・ジミ練は、本人のイメージ次第で大きな成長に

 前回の花園決勝、後半のキックオフを取った安達(トップ写真)は、彼は高校からラグビーを始めた選手です。最初は上のボールには全然強くなかった。ただ、このような地味な練習を、自分なりにイメージしてコツコツと積み重ねることができる選手でした。2年半がたって、ハイボールは彼の大きな武器になっていました。それが試合の流れも左右しました。


 ハイボールの練習は、桐蔭では10年ほど前から取り組んでいます。これは、7人制をヒントに構築してきたスキルです。チームの戦術を理解し、イメージができれば、次mな練習こそが選手として大きな糧になります。今、選手の皆さんには厳しい状況が続いていると思いますが、こうした練習が実を結ぶと信じて、できることをやっていきましょう。

監修・藤原秀之▼桐蔭学園監督

(おわり◎取材・文/成見宏樹 写真/長岡洋幸)