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【動画メニュー】桐蔭学園、最高基準のジミ練[8] オフロード

2020.07.08

桐蔭学園の基礎練習はいずれも、一見「地味」。反復練習は小グループに分かれるなど個々が効率よく回数をこなせるように工夫されている。練習中のコーチの指摘は細かい(撮影:長岡洋幸)

 全国高校大会優勝校・桐蔭学園高校のふだんの練習を紹介する。第8回も、桐蔭が近年取り入れるようになったオフロード。桐蔭学園のこだわり練習の共通点は、地味なこと。単調にも見えるドリルに、無数の判断(ジャッジ)とイメージ、ノウハウが詰まっている(完全版はラグビーマガジン2020年4月号、6月号に)。*取材は、2月初旬に行いました。コンタクトプレーや飛沫の可能性のある練習は、指導者の適切な判断と指導のもと、行ってください。(編集部)

監修・藤原秀之▼桐蔭学園監督

桐蔭学園・オフロードの最重要ポイント
G O O D ◎ボディを出す

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MENU D-02 オフロード・外      

まずショートステップでずらしにいく。ディフェンダー側の腕をうまく使い、ボールは安全なスペースに。コンタクト後に「もう一歩」足を入れ、タックラーを完全に押さえる

やり方
・先頭がディフェンス、2番目がボールキャリアに
・後ろ2人はサポート。深い位置から対応を!
・キャリアがディフェンスをかわして、外へつなぐ

内側の腕でスペースを作る
キャリアはディフェンスがいる側の腕をうまく使って、スペースを作り、ボールをフリーで動かせる体勢を確保する。サポートのタイミングを見て、ボール側のスペースを突かせる。強くコンタクトされれば、オフロードは難しい。

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桐蔭WORDS 「成功体験」
 オフロードを練習メニューに採り入れることにした時、二回り小さな3号ボールを購入しました。子供用の小さなボールで、扱いやすいからです。できないことをできるようにするために必要なのは小さな成功体験。まずは小さなボールで「片手でも扱える」という実感、体の使い方を直感的に覚えていきます。(福本剛コーチ)

右が3号ボール。通常のボールは5号ボール(左)。手の大きな選手につかんでもらうと、こんな感じ。右が3号

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MENU D-03 オフロード・倒れながら内

ショートステップでタックルをずらす。その時、味方の位置はすでに把握すみ。タックラーはキャリアを捕まえて離さないことが練習のポイント!

やり方
・相手をかわしにいったがタックルされた場面…を想定
・今度は「倒れながら、内に返す」
・繰り返す

まずは両手で、体をサポート側へ向けて
倒れてもラックにはしない。できる限り、つなぐ。タックラーを半分かわした後は、ボールは両手で持ち、確実にサポートに託す。「何でも片手で」ではなく、状況が整えば確実な方法を。

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桐蔭WORDS 「ボールはつかめ」
 ボールは腕と胸で挟むのではなく、「つかむ」「握る」ことが大切。このグリップ感覚が身についたら、あとは判断。味方がそばにいるか、位置はどこかなど、オフロードはキャリアの判断が重要。判断ミスは、落球からのターンオーバーなど、手痛いエラーに直結する。

外のスペースを走らせる場合の使い方(左)、内に返す場合の手の使い方(右)


(つづく◎取材・文/成見宏樹 写真/長岡洋幸)

監修・藤原秀之▼桐蔭学園監督