2019年からハリケーンズでアシスタントコーチを務めていた元ニュージーランド代表のカーロス・スペンサーが、新型コロナウイルスの影響により、同クラブを退団することが決まった。現在、ニュージーランドでは国内大会の「スーパーラグビー アオテアロア」が開催中で、スペンサーも熱心に指導をしていたが、ただちにチームを去ることとなった。
ハリケーンズは今週はじめに出した声明のなかで、「新型コロナウイルスによって引き起こされた財政の不確実性のために、我々は彼の契約を早く終えることに同意した。これは、残りのスーパーラグビー アオテアロアで彼はハリケーンズのコーチングチームの一員ではないことを意味する。これまでハリケーンズへの多大な貢献をしてくれたカーロスに感謝し、彼の将来の幸運を願っている」とコメントした。
今回、スペンサーがハリケーンズから解雇されることになった理由について、地元メディアの『One News』は、「この決定はスペンサーのコーチング能力や、チームやスタッフメンバーとの関係を示すものではない」と報じている。
スペンサーは選手時代、おもにスタンドオフとしてプレーし、1997年から2004年にかけてニュージーランド代表“オールブラックス”で35キャップを獲得。甘いマスクに加え、創造性豊かなアタッキングラグビーでもファンを魅了し、クラブシーンではブルーズの司令塔として3度のスーパーラグビー優勝に貢献するなど活躍、「キング」の愛称で親しまれた。
コーチになってからも評判はよく、昨年のワールドカップで優勝した南アフリカ代表のSOのひとりであるエルトン・ヤンキースがライオンズの若手だった頃に大きな影響を与えたことは有名で、日本の宗像サニックスブルースでBKコーチを務めていたときに指導を受けたアンドレ・エスターハイゼンはのちに南ア代表CTBになれた理由のひとつとして、「カーロスは私のキックとパスを大いに成長させてくれた」と語っていた。
現在44歳のスペンサーは地元メディアの『NZME』でハリケーンズ退団について述べ、「残念なことだが、(新型コロナウイルス感染拡大防止のため)都市封鎖が始まったとき、財政状態と来年の不確実性のために仕事を失う可能性があると言われた」ことを明かした。今後については、急いで決断を下すつもりはなく、「家族と一緒に十分に必要な時間を過ごし、次の動きへ整理する機会だと考えている」とコメントしている。