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【動画メニュー】桐蔭学園、最高基準のジミ練[7] オフロード

2020.07.01

桐蔭学園がオフロードを練習で取り入れたのは3シーズン前。海外チームとの対戦の中で、決定力を高める重要なスキルになると考えた(撮影:長岡洋幸)

 全国高校大会優勝校・桐蔭学園高校のふだんの練習を紹介する。第7回は、桐蔭が近年取り入れるようになったオフロードがテーマだ。桐蔭学園のこだわり練習の共通点は、地味なこと。単調にも見えるドリルに、無数の判断(ジャッジ)とイメージ、ノウハウが詰まっている(完全版はラグビーマガジン2020年4月号、6月号に)。*取材は、2月初旬に行いました。コンタクトプレーや飛沫の可能性のある練習は、指導者の適切な判断と指導のもと、行ってください。(編集部)

監修・藤原秀之▼桐蔭学園監督 文末にインタビューあり

桐蔭学園・オフロードの最重要ポイント
ボディを出す

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MENU C-09 オフロード・内返し

やり方
・先頭がディフェンス、2人目がボールキャリアに
・ボールキャリアを縦に2人でサポートする(深いサポート)
・キャリアがタックラーをかわして(ショートステップ)…
・開いた空間にサポートを呼び込む
・繰り返し

ラックを作らず、立ったまま
つないで、畳み掛ける
タックラーを、コンタクト直前でずらして、前へ。もちろん、ボールキャリアの体勢はタックラーとの関係で決まるので、キャリアもサポートも臨機応変に。コンタクト時には、ヒジの位置を意識している。サポート役は加速しながらキャッチを。

桐蔭WORDS 「ボディを出せ!」
コンタクトの瞬間に、ショートステップや股関節、肩甲骨の動きなどをうまく使って、相手デイフェンスの裏に、出る。体が30㌢でも食い込めば、ボールは格段に扱いやすくなってパスがつながる。さらに、ディフェンスのオフサイドラインが下がるため、次の攻撃が有利に。この30㌢を作るために…「30㌢」にこだわろう!

相手防御の裏に、1人30㌢ずつ食い込めば、相手のダメージは甚大に


INTERVIEW 藤原秀之監督
日々、地味。
感覚を磨く練習

「オフロード導入のきっかけはサニックス。海外チームに勝つための武器をという発想でした」(藤原監督)

 2020年、第99回全国高校大会で初めての単独優勝を遂げた桐蔭学園。

 1996年の初出場から決勝を7度経験してきた安定感は特筆もの。言わば必然的に勝ち上がってきた桐蔭学園の特徴の一つは、チャレンジングな個人戦術への取り組みだ。冒頭に語っている通りである。

「これだけ毎年経験させてもらっていながら、海外勢に勝てない。彼らとの違いはチャンスで『スコアを取り切る』決定力にあった。チャンスでラックを作ってスピードダウンするのではなく、そのままつないでトライを取り切る」

 オフロードを基本技術として考え、腹を括って取り組んだ。
もう一つ、桐蔭学園のゲームで特徴的なのは、キックオフなどでのハイボールへの仕掛けだ。

 99回大会決勝は象徴的だ。堅守の御所実を後半に突き放すことができたのは、後半早々のキックオフでのマイボール確保にあった。

「普通に相手にボールをやったら、後半の大事な時間帯に、御所にボールを持ち続けられてしまう。なんとしても自分たちが攻めたかった」(藤原監督)

 桐蔭学園は、マイボールキックオフでLOを左右に振り分け、相手の高さを「分散」させた。そこで、LO安達航洋が見事な確保。この流れで結局後半に追加点を奪って、勝利を手繰り寄せた。

 桐蔭の選手たちが発揮する才能や能力は、今回も紹介する「地味な練習」で、日々、高められている。

(つづく◎取材・文/成見宏樹 写真/長岡洋幸)

監修・藤原秀之▼桐蔭学園監督