早稲田佐賀高校にラグビー部ができた。
6月25日、東京・新宿の早大キャンパスで創部記者会見を開き、来年4月から活動を開始する。
監督は早大時代に主将としてチームを束ね、2019年度までコカ・コーラレッドスパークスでプレーした山下昂大氏が務める。
同監督は、すでに学校のある唐津市に住み、学校の事務局で広報の仕事に就いている。
来年の4月まで職務をこなしながら、中学生たちに学校とラグビー部の存在を広めていく活動をおこなう。
生徒の6割超が寮で暮らし、そのうちの4割が関東出身だから、周知活動は近隣でラグビーの盛んな福岡だけでなく、広範囲となりそうだ。
受験突破が入学、入部の前提だから、甘い言葉をささやくのではなく、同志を募る行動だ。
姿勢と行動で目の前の人に勇気と喜びを与える。
山下監督はチーム理念をそう定めた。ラグビーへの取り組み方と、勝利へのチャレンジ、必死のプレー。人の心を動かすほどの情熱を持ったチームにしたい。
「そんなラグビー部の歴史を、来年の春に入学する1年生たちと作っていきたいと思っています。私自身もそうですが、縁あって、創部のタイミングに関わることができる。一緒に歴史を作ろう。(高校進学を控える中学3年生たちに)そう声をかけたいと思っています」
佐賀工が38年連続で花園への出場を続けている現在。これから歩き出すチームがその壁を越えるのは簡単ではないが、「生徒たちは花園を夢見て入ってくるのだから目指したい」と言う。
「いつまでにと言うのはおこがましいですが、グラウンドに立つときには、どんなときでも結果を求めていきたいと思っています」
目指すラグビースタイルはある。「早稲田の看板を背負うからには、力に頼らず、スピーディーな、頭を使ったラグビーをやりたいですね」と話す。
「ただ、早稲田らしさを根底に持ちながらも、早稲田佐賀のオリジナリティーを作っていきたい」
自分たちだけのものを手に入れるつもりだ。
2019年度シーズンの途中、右足のアキレス腱を切るアクシデントもあったが、もともと30歳になることを機に、新たな道へ踏み出そうと考えていた。
そのタイミングと現職へのオファーの時期が重なり、以前から胸に抱いていた指導者となる夢が実現した。これから出会う初代ラグビー部員たちに愛情を注ぎ込む覚悟はできている。
ファーストミーティングで、「キミたちがこの部にいる3年のうちに、一緒に花園へ行きたい」と言うつもりだ。
目の前に何人の部員がいるかは分からない。でも、思いを言葉にしてみんなで同じイメージを共有したい。
そうなれば、自分も部員たちも、日々の過ごし方が決まる。充実した生活が待ち遠しい。