2019年度シーズンを区切りに、サントリーから宗像サニックスに移籍した小野晃征。もともと在籍したチームへの復帰は、8年ぶりとなる。
2015年のワールドカップでは日本代表のSOとして活躍し、南アフリカ代表撃破にも貢献した同選手は、自身のことを「51%日本人で49%キウイ(ニュージーランド人)」と言って笑う。
ニュージーランド 育ち。1歳のときに両親がラグビー王国へ移住。2歳時、妹が生まれる際に半年だけ帰国したが、それから19歳までクライストチャーチで暮らした。
幼い頃から楕円球が傍らにある生活で、クライストチャーチ・ボーイズハイスクール時代は各年代のカンタベリー州代表に選ばれ、同校のファーストフィフティーンにも選出。19歳以下のカンタベリー州代表としても活躍した。
そんな人生から、しばしばラグビー王国の日常を伝えてくれる。
そして、その言葉には多くのヒントが詰まっている。
【小野晃征の金言】
「僕自身、いつもラグビーの練習が終わったときには、次の練習を待ち遠しく思っていました。ニュージーランドは練習時間が短い。足りない、と感じるぐらい。でも、ラグビーは倍練習したから倍うまくなるスポーツでもないので、それくらいがちょうどいい。その日の練習が終わったとき、『さっきのやつ、もう1回やりたいな』と思うくらいが」
「コーチたちは、ラグビーを好きになることが上達の近道と知っています。ラグビーを好きになれば、いろんな試合を見たくなる。そして、良いプレーの真似をする。そうなると、自分で研究もしますよね」
「(スキルやテクニック指導について)ある程度の基本はありますが、幅を認めてくれる。例えばパス。きれいなフォームでなくても、その人がやりやすい形でうまくやれるなら、それでいい、と。コーチは、うまくいかないときにアドバイスしてくれる存在」
「日本でときどき耳にして残念に思うのは、ラグビーに飽きたとか、(練習をやり過ぎて)ラグビーを嫌いになったとか、そういう理由で『もう(プレーするのは)いいや』となる若い人がいることです」
そこにいる全員を、決まった期間に、同じようなレベルにまで引き上げるような指導をすると、そういった選手が出てくるのかもしれない。
「だからコーチは、そこにいる全員が毎回の練習をスマイルで終えることをゴールにすればいいと思う。ニュージーランドでは、ラグビーのシーズン以外には、みんなクリケットなど、他のスポーツも楽しむ。いろんなスポーツを経験した上で、ラグビーを選んだ人が長くラグビーを続けていく。楽しいから、やる。それが大事。コーチと選手は先生と生徒ではないと思います。ラグビーを教えるのがコーチの仕事ではなく、楽しいと思わせるのがコーチの役目」
「ニュージーランドには、子どもの頃から、いつかオールブラックスになりたいと思っている人たちがたくさんいます。その人たちは、勝つことしか許されないチームの姿をいつも見ているから、もしオールブラックスになれたとしたら、絶対に勝たないといけないチームでプレーするのだと、最初から理解している。そこが他の国とは違う。プレッシャーも分かった上で、目指し、到達した者の強さがある」