ニュージーランド政府は6月8日、国内の新型コロナウイルス感染者が約3か月半ぶりにゼロになったと発表した。これを受けて同日深夜に、コロナに対する警戒度を最低水準のレベル1に引き下げ、ソーシャル・ディスタンス(対人距離の確保)や大規模な集会の制限など、感染拡大対策として課していた国内の全ての規制を解除する。
これにより、同国内で6月13日から開催される「スーパーラグビー アオテアロア」は観客の入場が可能となった。
当初は無観客でおこなわれる予定だったが、ニュージーランドでは新規感染者が17日間連続で出ておらず、国内で感染が確認されていた最後の患者も回復して隔離期間が終了し、感染者ゼロを達成したことで制限措置は全面的に解除されることになった。
一方で、海外からの渡航者による新規の感染を防ぐため、厳格な入国規制は今後も維持される。
地元メディアのTVNZによれば、「スーパーラグビー アオテアロア」のチケットはすでに発売開始。ダニーデンのフォーサイスバースタジアムでおこなわれるハイランダーズ対チーフス戦がオープニングゲームとなり、14日にはオークランドのイーデンパークでブルーズ対ハリケーンズ戦が開催される。
観客数に制限がないことも確認された。
観客の入場が認められたため、キックオフ時間は変更になっている。
世界の多くの国が新型コロナウイルスの感染拡大防止に苦労し、プロスポーツを再開したところでもほとんどは無観客でおこなわれている。コロナによる中断後、観客入場制限なしで開催するプロラグビー大会は初めてとなり、ニュージーランドラグビー協会のマーク・ロビンソンCEOは、「ファンの前で再び試合をできる、世界で最初の大会になることを信じられないほど誇りに思っており、感謝しています」とコメントした。
「スーパーラグビー アオテアロア」は、新型コロナウイルスの世界的流行により中断されている国際リーグ「スーパーラグビー」の代替大会としてつくられた。
6月13日にキックオフとなり、参加するニュージーランドの5チームが10週間にわたってホーム&アウェイで戦い、8月16日まで計20試合(毎週末、土・日に1試合ずつ)を実施する。
人口約500万人のニュージーランドでは、2月28日に最初の新型コロナウイルス感染者が確認され、感染者が6人になった3月14日の時点で海外からの入国者に2週間の自己隔離を求めると発表。同19日には外国人の入国を禁止し、25日には国家非常事態を宣言し全土の封鎖に踏み切るなど、ジャシンダ・アーダーン首相をリーダーに、すばやい厳格な対応が奏功した。
同国でこれまで確認された新型コロナウイルス感染者は1154人で、死亡者は22人となっている。