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練習○、パス・タックルは×! イタリア協会が練習再開プロトコル発表

2020.05.30

写真は2020年シックス・ネーションズでイタリア代表主将を務めたHOルカ・ビジ。(写真/Getty Images)



 ワールドラグビーが新型コロナウイルスの感染リスクを軽減するための一時的ルール変更を発表し、適用は各国協会やリーグの判断に任されることになった。
 試合のルールももちろん重要ではあるが、試合の前には必ず練習がある。

 練習での感染対策について、ウイルスの影響を世界で最も大きく受けた国のひとつとされるイタリアで、ラグビー協会が国内クラブ向けに指針を発表した。
 イタリアラグビー協会は5月27日、16ページにわたるプロトコルを各クラブに通達、チーム活動の再開にあたって、最大限の注意と衛生意識を持ち続けることを強調した。

 プロトコルの中で最も厳しく映るのは、選手間のパスがまだ禁止されている項目だ。
 個人スキルの練習にボールを使用することは問題ない。しかし、別の選手が同一のボールを触る前には必ず洗浄、除菌を行う必要があるとされている。

 また、ソーシャルディスタンスの維持をフィールド内でも引き続き求められる。
 通常は2メートルも、列になって走る場合には、飛沫の流れなどを考慮して10メートル空けることが記されている。
 タックルバッグやスクラムマシーンなどの練習器具の使用は一律で禁止。ジムでのウエートトレーニングに関しては、各選手が使用後に毎回の消毒をすることを条件に許可されている。

 水分補給用のボトルは一人に一本が割り当てられ、記名式となる。グラウンドへ唾を吐くことや、鼻水を飛ばすことなどはもちろん禁止となる。
 また、再開にあたっては抗体検査などを用いて、COVID陽性グループ(抗体保持者)と陰性グループの2つにチームを分け、陽性グループには、心肺機能などを含むメディカルチェックを一通り行う。

 当分は、血と汗と大きな声が混じる“熱いラグビー”を懐かしく思う日が続く。しかし、このプロトコルも然り、少しずつ具体的になる対策を経て、ラグビーは一歩ずつ前に進む。
 イングランドでは、プレミアシップ(リーグ)が、「少なくとも6月中旬まではトレーニングの再開も不可」との判断を下した。いまだ予断を許さぬ状況が続く。イタリア協会も、今後の状況によってはプロトコルの変更を随時おこなう可能性がある。

 試合のルール変更も含め、対応すべき事項は多いが、各チームはまず練習での感染対策を求められる。
 見えないウイルスとの戦いに勝利し、ラグビーに戻れる日を待つばかりだ。


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