新型コロナウイルス感染拡大防止へ厳格な対策をすばやく実行し、封じ込めに成功して世界中から称賛されているニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、国民と同じ目線で寄り添い、コミュニケーションを大事にすることでも知られるリーダーだ。最近はテレビのラグビー番組にリモート出演し、ラグビー愛を語った。
ジョン・カーワン、ジェフ・ウィルソン、ミルズ・ムリアイナといった元オールブラックスのレジェンドたちとラグビートークで盛り上がったアーダーン首相。ニュージーランドは世界に先駆けてラグビー再開を許可し、6月13日から国内大会『スーパーラグビー アオテアロア』を開催するが、どのチームのファンかと訊かれると、常に明確だとし、「私のいちずな愛はずっとチーフスよ」と答えた。
現在、オークランドに住むアーダーン首相に対し、そこを拠点とするブルーズでヘッドコーチを務めたことがあるオークランド出身のカーワンが不服そうに苦笑いしながら理由をたずねると、「私はモリンズビル(チーフスが拠点とするワイカト地方にある町)で生まれ育ったの。だから、私から“ムールー”カントリーを取り除くのはかなり難しいわ。私は耳にベルをつけて生まれたんだから」と言って笑った。
ワイカト地方は酪農地帯として有名で、牛の鳴き声から、同地方代表のラグビー選手たちは“ムールーズ”というニックネームで親しまれている。カウベルを持ったファンがガランゴロンと音を鳴らしながら応援する光景はチーフスの試合会場でもよく見られ、アーダーン首相もきっと胸が躍るのだろう。
NZヘルラド紙によると、政府は5月29日の午後から最大100人の集会を許可する計画を発表。ニュージーランドでのコミュニティスポーツの再開へ大きな後押しとなる。
アーダーン首相は、コミュニティスポーツの復活は、正常へ戻る大きな兆候だと語る。
「私にとって平常感の本当の兆しとは、人々がそれぞれのクラブに戻り、土曜日の朝に子どもたちをスポーツに連れて行くことができるということです。それは私たちにとって非常に大きな部分です。それに戻ることは、物事が戻ってきていることの兆候です。再びみんなが一緒に集まることができること、コミュニティの感覚、そしてメンタルヘルスと幸福。身体運動と活動はその中でとても重要な部分であり、本当に重要です」
そして、ニュージーランドでは来月からプロスポーツが再開される。当分は無観客で開催される予定だが、アーダーン首相は、それほど遠くない将来に人々はスタジアムやアリーナなどで何らかの形でスポーツを生観戦することが可能になるかもしれないと、国民に希望を与えた。