全国高校大会優勝校・桐蔭学園高校のふだんの練習を紹介する。前編2回目の今回は、桐蔭が長年、続けているこだわり練習のレストレ(レスリング・トレーニング)のその2だ。共通点は、地味なこと。単調にも見えるドリルに、無数の判断(ジャッジ)とイメージ、ノウハウが詰まっている(完全版はラグビーマガジン2020年4月号、6月号に)。
*取材は、2月初旬に行いました。コンタクトプレーや飛沫の可能性のある練習は、指導者の適切な判断と指導のもと、行ってください。(編集部)
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A-3 レストレ 馬とび
深い踏み込みを、動きの中で身につける
GOOD◎前足を踏み込んで、股下を潜る
やり方
・素早く。着地からのリアクションを機敏に
・潜るときは強い姿勢で。足を前に踏み込んで!
・踏み込んで、足の裏をつく。ヒザをつかない
・台(下)の人は、頭を下げて。ぶつからないように
・跳ぶ人は、台の人の頭の方から跳ぶ
×NG
これはNG。潜るときは、踏み込み足を深く! ヒザをついては、力が出ない
CHECK!:::::::::::::::::::
素早いターン! 次の動きを予測して
素早い動き、動作の切り返しの中で、ラグビーに必要な動きや働きを身につける。着地と同時に次の踏み切りを!
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A−4 レストレ 肩だっこ
肩の筋力をつける
やり方
・2人1組。互いに腕を前に伸ばしたまま、相手を持ち上げる
・20㍍、後方へ進む
・交代して、反対の人が後ろへ20㍍!
腕を互いに伸ばして、そのまま持ち上げる。どちらも、手を組まないこと。手を組むと、力が肩と腕に分散してしまう
CHECK!::::::深見柊眞コーチ::::::::::
丈夫で強い肩を作る。
タックル、ブレイクダウン、ボールキャリーと、ラグビーでは直接肩がぶつかることも多い。ケガとは無縁のタフで大きな肩を作るため、体幹と連動させた姿勢で移動するメニューです。1年生は、入学したての頃はこれができない子も少なくありません。夏合宿で鍛えられ、9月、10月になってようやくできるようになります。体が小さいからこそ、しっかりとした筋力、体づくりは重要です。
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B−5 レストレ 首トレ
体幹と連動した首の力を作る。
やり方
・パートナーに足上に乗ってもらい、頭の後ろに両手でつかまってもらう
・首のみを動かしてあごを上下させるように。頭を後ろへ
・絶対に腰が曲がった状態でやらないこと
・首にぶら下がると、効果半減。首の後ろにパートナーの手がかかると、刺激が首にかからない
・頭の方を両手で持つようにしよう!
CHECK!::::::深見柊眞コーチ::::::::::
トレーニングを、ただのウォームアップにしない子は
レスリング・トレーニングには、年間1回か2回、すぐ近くの日体大のレスリング部にお邪魔して、練習をさせてもらっています。それを、練習始めなどに、ウォームアップとしても活用。個々の動きの中には、ラグビーに役立つ要素が詰め込まれている。動きの一つひとつの意味や、ポイントをつかんでやるかどうか。毎日のようにやるものだから、レストレを、ただのウォームアップにしない子は、他の子と少しずつ差がついていきます。それが半年、1年では大きな差になる。3年になって伸びてくる選手は、そういう要素を、他の面でもしっかりと積み上げていると感じます。
(つづく◎取材・文/成見宏樹 写真/長岡洋幸)
監修・藤原秀之▼桐蔭学園監督