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追加選手招集も。豪州内スーパーラクビー再開へ、サンウルブズ参戦なるか

2020.05.13

3月14日のクルセイダーズ戦(ブリスベン)をスーパーラグビーでの最終戦にしたくない。(撮影/松本かおり)



 参戦が叶った場合、サンウルブズの戦いが持つ意味は、メッセージ性の強いものになるだろう。
 新型コロナウイルス感染の広がりが落ち着いてきたオーストラリアでは、同国のフランチャイズチーム同士で争う豪州版スーパーラグビーの開催準備が7月の開幕に向けて前向きに進められ始めている。

 豪州メディアは、同大会は12週間の開催期間を予定しており、5〜6チームの参加を目指すと報じている。
 ブランビーズ、レッズ、レベルズ、ワラターズの4チームに加え、もともと同国のフランチャイズチームだったフォース、そしてサンウルブズが、その候補だ。

 サンウルブズの渡瀬裕司CEOも、その動きについて現地とコミュニケーションをとっていることを認め、参加実現の道を探っていると言う。「ただウイルス問題がある限り、国外チームがオーストラリアに入国するハードルは高い。簡単に物事は進まないと覚悟しています。あちらの政府の判断にかかっている」と話す。
 入国後2週間の隔離期間を経てからでないと外に出られないのでは、戦う準備を整えられない。同期間でも滞在先近くでのトレーニングを可能にするなど、越えなければいけないハードルは多い。

 各選手のPCR検査、隔離期間、その後の現地での調整期間を考えるなら、キックオフ予定時期から逆算しての参加可否決定のリミットは、そう先ではない。渡瀬CEOは「来週には決めてくれないと」と話す。
 所属選手の中には、海外渡航制限が強化されたままの南アフリカや、非常事態宣言が出ているジョージアの選手もいるため、新たな日本人選手の招集もトップリーグチームに打診中。その作業も進められている。

 数々の障壁を乗り越える必要がある今回の参戦。実現した際にはクインズランドに拠点を置き、約3か月に渡って戦いの中に身を置くことになる。
 その環境を考えると、選手、スタッフが困難な状況の中で得る経験は貴重なものとなるだろう。無観客試合が予定されており、チームが通常のようなホームゲーム開催時のような収益を得ることもない。戦いの意味は、「この環境下で必死に戦う姿を通して、ファンに勇気を届けるということになると思う」と渡瀬CEOは話す。

 今回オーストラリア側が「サンウルブズも参戦を」とするのは、これまで見せてきたパフォーマンスの評価が現地で高いことも理由のひとつだ。豪州チーム同士の戦いだけの大会に、一種のスパイスを加える存在と認識されている。
 サンウルブズにとっても、チームの存在価値をあらためて示すとともに、日本人選手の経験値アップ、スポンサー露出の機会増になる。戦いの内容によっては、今季限りと決まっているスーパーラグビーへの加盟期間に影響を与える可能性もあるかも…と信じ、挑むしかない。

 未曾有の事態の中で、国際舞台にかかわるチームに携わっている選手やスタッフ。それだけでも、「これからの人生の中で経験できるかどうか分からないこと」と、渡瀬CEOは前向きにとらえる。
 シーズン前には考えてもいなかった『続き』があるかどうかは、そう遠くないうちに決まる。新しくチャンスをつかむ者は誕生するだろうか。


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