新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、新リーグの準備が遅れている。それにともない、目指していた2021年秋の開幕も2022年の年明けにずれ込みそうだ。
5月11日、新リーグ法人準備室長の日本ラクビー協会、谷口真由美理事がオンラインで報道陣の取材を受け、進捗状況を明らかにした。
コロナ禍による各企業の混乱も考慮し、もともと3月末に設定していた新リーグ参加意思表示期限を4月末に延期していた。
しかし緊急事態宣言の延長などもあり、参加申し込み期限は6月末に再設定された。新リーグによる改革の目玉のひとつ、ホームスタジアム確保が進んでいることを示す自治体からの協定書提出などが滞ると予想されたからだ。
同様の遅れは多岐に渡っている。
ただ開幕の遅延は、2020年夏に予定されていた東京オリンピック・パラリンピック(以下、五輪)が2021年夏に延期されたことの影響が大きい。
谷口室長は、五輪時に秩父宮ラグビー場が駐車場として利用され、その状態からの再整備に時間を要することも理由と話し、五輪ほどの大イベント直後の開幕は社会状況も踏まえて難しいとした。
この日は新リーグの概要についても、あらためて説明された。
ホストスタジアムの確保は、開幕年が2021年なら、同年から2023年までは、1万5000人収容規模のものを確保できるように努力目標とすることを求められ、2024年以降は必達条件となる。
ホストエリアの設定、各チームの運営事業化(ホストゲームのチケット販売や大会の自主運営など)も求められる。
ホームスタジアムの収容人員(1万5000人規模)については、「チケット一枚を2000円平均として、それくらいの(入場者数)規模がないと各チームが運営していけないだろうと考え、設定しています」と谷口室長。ホームスタジアムでのホストゲーム実施率は、最初の3年間は50パーセントが基準も、それ以降は80パーセント以上が求められる。
リーグの構成は、これまでのトップリーグ+トップチャレンジリーグを再編し、参入チームを3つのディビジョン(上位から1〜3)に分けて運営する予定。上位2ディビジョンは参入要件同意チームで、もうひとつのディビジョンは同条件一部同意チームとなる。
下部の地域リーグも含め、ディビジョン間の昇降格も実施される。しかし、あくまでディビジョン2以上は参入条件をすべてクリア(最初の3年は努力目標も可)していることが求められる。
各ディビジョンのチーム数は6月末の参加申し込み数決定後、それぞれの参加要件への評価などがおこなわれ、実力面などと合わせて総合評価され、決定される。代表チームへの派遣協力実績などもポイント化され、評価の一部となるようだ。
また、各チームのラグビー専任選手(プロ)についてはリーグとしての統一契約書が用意されることになり、サラリーの高騰化を防ぐためにもサラリーキャップ制(年俸総額の上限設定)の導入も検討されている。