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6月13日にNZでラグビー再開! 新型コロナ収束でSR勢の国内大会開催可能に

2020.05.11

クルセイダーズ(赤)×ハイランダーズ。ラグビーの熱闘をまた楽しめる(Photo: Getty Images)


 ラグビーがかえってくる!
 新型コロナウイルスのまん延で世界中のスポーツが長期ストップしてしまったが、すばやい対応と厳しい対策で感染拡大の抑制に成功したニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相が5月11日に会見を開き、今週木曜日から警戒レベルを「2」に下げると発表。これにより同国では、小売店やショッピングモール、カフェ、レストラン、映画館、ジム、公園などの公共スペースの再開が14日から認められ、ラグビーやネットボールといったプロスポーツも要件遵守で開催可能となった。
 この決定を受け、ニュージーランドラグビー協会は同日、スーパーラグビーチームのブルーズ、チーフス、ハリケーンズ、クルセイダーズ、ハイランダーズが参加する国内大会「スーパーラグビー アオテアロア」を6月13日から始めると公式に発表した。

 選手たちはこれまで個人や少人数でウエイトトレーニングなどをおこなっていたが、チームとして4週間の準備期間が設けられ、健康と安全のために設定されたガイドラインの範囲内で、コンタクトトレーニングなどをやり適切に準備していくこととなる。

 大会は6月13日にキックオフとなり、5チームが10週間にわたってホーム&アウェイで戦い、8月16日まで計20試合を実施(毎週末、土・日に1試合ずつ)。ファンの入場が可能となるアドバイスが政府から出るまでは無観客試合となるが、現地では『Sky Sport』で全試合生中継されるという。

 ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチン、日本から計15チームが参加するスーパーラグビーは、新型コロナウイルスの世界的大流行により、7節を終えた時点(3月15日)で中断しているが、「スーパーラグビー アオテアロア」はニュージーランド国内大会であり、ポイント(勝点)は引き継がれずゼロからのスタートとなる。

ロックダウン期間中、自宅のガレージでウエイトトレーニングをするブルーズの選手(Photo: Getty Images)
新型コロナウイルスを封じ込め、世界中から称賛されているNZのアーダーン首相(Photo: Getty Images)

 感染拡大を阻止するため、ニュージーランド政府の動きは早かった。
 3月14日、当時国内での感染者数は6人で、死者は出ていなかったが、アーダーン首相は「自国民も含め入国者全員に14日間の自主隔離を義務付ける」と発表。これはスーパーラグビー中断決定にも大きく影響した。感染者が増えると、人口約500万人の島国をすぐに「鎖国」状態にし、3月26日から4週間は、警戒レベルを最高のレベル4に引き上げ世界でも極めて厳しいロックダウン(都市封鎖)を実施。そして、感染状況の改善を受けて4月27日にレベル3に引き下げ外出規制を一部緩和し、5月4日には新型コロナウイルスの新規感染者数が約1か月半ぶりにゼロとなり、状況を再び精査してレベル2に引き下げられれば、ラグビーの競技再開は可能とされていた。

 ニュージーランドラグビー協会のマーク・ロビンソンCEOは、「多くの人々の笑顔を取り戻すはず。選手たちが興奮しているのはわかっているし、ラグビーファンもきっと同じだろう」とコメントし、3か月ぶりに世界トップレベルのラグビーをファンに見せられることを喜んだ。そして、引き続き、関係者全員の健康と安全を保護するための詳細な計画を整えていくことを約束した。そこには、選手、チームマネジメントおよび関係者の毎日の健康状態と体温のチェック、厳格な衛生管理と清掃、接触者追跡、気分が悪い人には近づかない、自主隔離、検査受検などが含まれる。

 なお、ニュージーランド国内の地方代表が競うマイター10カップは9月11日に開幕する予定。来年のワールドカップへ向けて選手強化が求められる女子の大会は引き続き検討される。

 ちなみに、隣国のオーストラリアでもラグビー再開へ向け国内大会を計画しており、スーパーラグビーチームのレッズ、ワラターズ、ブランビーズ、レベルズ、それにパースを拠点とするウェスタン・フォース(2017年を最後にスーパーラグビーから除外)を加えた計5チームで、7月上旬のキックオフを目指している。

窓際に、ハイランダーズのマフラーを巻いたテディベア。ファンも待っていた(Photo: Getty Images)