2ポイント差で上回った。
第98回全国高校大会(花園)では敗れた(3-55)けれど、今回は笑った。
もっとも燃えていたのは、今年度の主将を務める屋部旺成(やぶ・ひろせ)だったか。
5月6日、名護高校(沖縄)が早稲田実業高校(東京)に勝った。
ただ、互いにトライはない。
PGもDGも。タックルもなし。
名護が勝ったのは『Zoomバトル』での話だ。両校はオンラインでつながって合同練習をおこない、競い合った。
今シーズンから名護をフルタイムで指導する、デイゴラグビースクールの銘苅信吾代表が言う。
早大で指導していた頃のコーチ仲間と連絡をとったとき、慶大と関西学院大が『Zoom合同トレーニングバトル』で競い合ったと聞き、「自分たちもやれたらいいな」と考えたそうだ。
対戦相手はどこに。思いを巡らせた。早実のことが頭に浮かんだ。
銘苅さんは長くワセダクラブで指導した。早大ラグビー部のヘッドコーチも務めていた。
以前、名護がアシックスカップ(全国高校セブンズ)に出場して東京に遠征した際、練習試合もおこなった。2018年12月の花園でも対戦した仲だ。多くの縁からアプローチし、実現した。
3つのトレーニングで競い合った。
◆プッシュアップローテーション(腕立て伏せ)
◆モンキースクワット
◆バックロールバーピー(熊の姿勢→後方に転び背中を床につける→立ち上がり、頭上で左右の手のひらを合わせる)
この3メニューに両校から5人ずつが参加し、一定時間内の総回数を競うスタイルだ(代表者以外も実施)。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、自宅待機期間が続く両校。普段からオンラインシステムを使って合同練習を実施している。それでも、いつもと違う仲間たちとのバトルは互いに刺激になったようだ。
例えば名護。土曜日のサンウルブズ世界同時合同トレへの参加も含め、週5日のZoom合同トレをおこなってきた(入部予定の1年生も参加)。当然、ひとりで取り組むトレーニングよりヤル気は出る。ただ、繰り返しおこなってきたことで、マンネリ感があったのも事実だ。
銘苅さんは、その空気を打破できて良かったと話す。
「モチベーションがいつもと違うのはハッキリしていました。盛り上がっていたし、負けたくない気持ちも見られた。チームのまとまりや達成感も感じられ、良かった」
ちなみに屋部主将は、花園で早実と対戦したとき、1年生ながらピッチに立った。ただ、先発を予定されていたのに、当日の寝坊でリザーブスタートに。その苦い記憶を払拭できただろうか。
銘苅コーチは、「トレーニング後には両校の部員同士で近況を話したり、情報交換をしていました。東京のことを知ったり、沖縄のことを話したり。そういう時間も含め、本当にやって良かった」と笑う。
これからもいろんなチームに声をかけ、実施していく希望を持っている。