2015年のワールドカップ初戦で南アフリカを34-32と倒し、世界を驚かせた日本代表。ラストシーンで逆転トライをインゴール左スミに決めたのがカーン・ヘスケス(宗像サニックス)だった。
ラグビーマガジンでは、そのときの記憶を2019年7月に発行した『ラグビーワールドカップ 激闘の記憶 Vol.2』誌上であらためて取材している。
ニュージーランド出身。オタゴ代表を経て来日し、6年目のシーズンに同大会を迎えたヘスケス。南アフリカ戦には後半38分から出場した。
実はピッチに入る4分前からサイドライン脇に立っていた。WTB山田章仁と交代するはずも、なかなかプレーが途切れず足止めをくったのだ。
残り時間が少なくなり「ナーバスになっていた」。ウォーター係としてピッチレベルにいた沢木敬介コーチングコーディネーターが、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチから出た「どんどんボールをさわっていけ」の指示を伝えてくれた。
インジャリータイムに入ってのトライシーンは、ヘスケスにとって、この試合で初めてのボールタッチだった。
【カーン・ヘスケスの金言】
ワールドカップ史を振り返る映像の中に、いつも自分のトライシーンが含まれることについて。
「自分のトライ以外のものは、わりと個人がクローズアップされているものが多いけど、僕のはジャパンのトライ。チームが成し遂げたことが素晴らしくて、それがいつまでも忘れられないのがいいね」
最後のトライを呼ぶスクラムの前、相手反則でペナルティキックを得ていた。
「チームとしてはPGを狙うだろうな、と思いました。ただピッチ上の体感として、トライを取れる空気があった。誰かがインゴールに飛び込める雰囲気だった。リーチはFWに自信を持っていて、仲間を信じていた。周囲もリーチを信頼していたから、あの判断で良かった」
「理解してほしいのは、僕たち(外国出身選手)はみんな、ジャパンに選ばれる前から日本が好きだからこのチームでプレーしているんだ。そういう順番だってことを忘れないでほしい」