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新型コロナ収束へ英国ラグビー界も協力。聖地がドライブスルー検査場、最大級の臨時病院に。

2020.04.26

ドライブスルー検査場になったトゥイッケナム・スタジアムの駐車場(Photo: Getty Images)


 4月25日時点で、新型コロナウイルス(Covid-19)による死者数が累計で2万人を超えたとされるイギリスで、ラグビー界も感染拡大防止、収束へ向けて協力を惜しまず、“聖地”が検査会場や臨時病院として活用されている。

 イングランドラグビー協会(RFU)は20日、ロンドン郊外にあるトゥイッケナム・スタジアムを、車に乗ったまま検体を採取するドライブスルー方式のPCR検査センターにすると発表。ラグビーイングランド代表のホームであり、2015年ワールドカップの決勝会場にもなった同スタジアムの駐車場に設置された。
 これは、4月末までに1日あたり10万人の検査を目標とするイギリス政府の全国的な取り組みの一環であり、予約制で、医療従事者らを対象としている。
 検査で陰性だった最前線の医療スタッフはできるだけ早く現場に戻り、陽性判定を受けたスタッフは同僚や患者から離れることができる。

 RFUの最高経営責任者であるビル・スウィーニー氏は、「RFUは、トゥイッケナム・スタジアムでNHS(国民保健サービス)および他の主要な労働者のためにCovid-19ドライブスルーテストプログラムをサポートできることを嬉しく思います」とコメントしている。

“ドラゴンズハート病院”となったプリンシパリティ・スタジアム(Photo: Getty Images)

 また、ウェールズ代表“レッドドラゴン”のホームであるプリンシパリティ・スタジアム(ミレニアム・スタジアム)は、屋内のプレーエリアに臨時病院が設置された。
 約2000床のベッドが設けられ、ピッチには750床、仮設プラットフォームには250床を設置。敷地内には薬局、X線撮影装置、検査施設もあるこの臨時病院は、ウェールズ最大、イギリス国内でも2番目に大きな病院となり、「ドラゴンズハート病院」と呼ばれている。

 そして、スコットランドのラグビーの聖地であるマレーフィールドも、新型コロナウイルスの感染拡大が悪化した場合、緊急病院になるための“準備状態”にあるという。
 現地メディアによると、スコットランドラグビー協会は都市封鎖される前、エディンバラにあるマレーフィールドを緊急医療施設として使用可能であることをスコットランド政府に提案したそうだが、グラスゴーのスコットランド・イベント・キャンパスの方が緊急病院の要求により適していると判断され、「コロナウイルスの影響を受けた人々を治療するために追加の病院収容が必要な場合に備え、スタジアムは準備が整っている」とコメントしている。