●浦和高校のトレーニングの考え方
*指導者の考え方は、記事末尾のインタビューにて
MENU_01 おんぶ走
・22m×2本
・体幹と姿勢を意識!
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MENU_2 肩車走
・22m×2本
・体幹と姿勢を意識!
・バランスを崩さぬよう、上に乗る人も落下に注意を
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MENU_3 ハネムーン・キャリ
・22m×2本
・体幹と姿勢を意識!
・走る選手が腰を痛めないよう、乗る側はある程度安定してやること
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MENU_4 手押し車
・22m×1本
・体幹と姿勢を意識!
・腕をつく側は、ひざを曲げずに
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MENU_5 両足ジャンプ
・22m×1本
・体幹と姿勢を意識!
・全身の反発力を使って上へ、前へ!
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MENU_6 片足ジャンプ
・体幹と姿勢を意識!
・22m×1本
・左右交互にジャンプし踏み出していく
・着地後静止1秒
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MENU_7 1対1・抜き合い
・3本×左右
・間合い、緩急を意識
・スタート位置は「正面で固定(図の通り)」「対角で固定」「中央で固定」「フリー」など設定を変えても良い
It’s 浦高’s WAY :::::::::::::::::::::::::::::::::::
守破離で「自走するチーム」へ
[三宅邦隆部長(前監督)]
三宅部長 コーチ時代から歴代の生徒たちの戦いを見て感じていたのは、アタックが伸びないと、全国では厳しいということでした。
山本監督 私は他校出身で、他校から赴任してきましたが、『浦高は、ディフェンスとモール』というイメージは浸透しています。
三宅部長 時には自陣からも攻めうるアタック力がなければ、ずっと、ライバル校の土俵から抜け出せないわけです。仮に点差が詰まった年も、勝てる必然性には乏しい。
――どのように打開したのでしょう。
三宅部長 伝統の土台を大事にしながらも、プラスアルファのアタック力をつけることです。予選決勝以降くらいからはアタックに取り組める素地を、どれだけ付けさせてやれるか。
−―山本先生はBKを指導されていて、下級生の練習を見る機会も多いそうですが、初心者の子たちに仕込む、という内容はありますか。
山本監督 ポジションに関係なく、ボールに数多く触れるように意識はしています。例えば、ただ走るのではなく、動きのなかにハンドリングの要素を入れるとか。
三宅部長 選手自身のモチベーションが重要です。私はアタックに関してはほとんど選手に託します。彼らも張り切っていろいろ考えてくる。ただ、提示してきたものへのチェックは厳しくします。たとえばラインアウトのセットリスト(サインのパターン)を生徒が出してきます。単に「いいね!」ではなくて、「穴」が見えたらそれは指摘をする。「相手がこうきた場合は考えてる?」「少なくとも『表と裏』を考えないと、試合中に八方塞がりになるよ」
「想定が甘くない? 一つ習ったら、二つ、三つくらいまで先は自分たちで想定して作らないと」
こういう時には、生徒はまた真剣に作り直しをしたり、数人で残って練習をしたりしています。そういう時の練習が一番、上手くなりますよね。
――一方で、ディフェンスやモールについては、練習でも、かなり細かい指示が飛んでいます。
三宅部長 ディフェンスはリアクション。「相手がこうきたら、こう」とやることがはっきりしています。チームのシステムを覚えて、体がとっさに反応できるようになるまで教え込む。性格、能力的に、ここで持ち味を発揮する、存在意義を見出す生徒もいます。この領域は浦高の生命線なので、じっくりやって一定のレベルまで持っていく。ただ、「なぜ、これが必要か」「どうして、こうするのか」という根拠はしつこいくらいに説明します。生徒個々が説明できるようになるまで続けます。
――同様に、安全については特に注意を払っていますね。
三宅部長 浦和高校ラグビー部は過去に大きなケガ人も出ています。安全面の対策は徹底します。1年生は、どんなにスキルが高くても、新チームがスタートするまでは上級生の試合には出しません。体をしっかり作って、十分に高校生のコンタクトに慣れてから。
山本監督 下のメニュー表は、ちょうど今の時期に行う体力強化練習のメニューです。この時期は2年生も含めてじっくり体を作って、一つ上のレベルを目指す土台を作る。
タックルについては、三宅先生ら近年の浦和高校の、安全への取り組みも反映されています。コンタクトの曲面だけではなく、相手に芯で当たれる間合いの詰め方を含めて指導していく。ラグビーはケガが怖い。漠然と恐れるのではなく、その原因を把握して対策する、つまり「正しく恐れる」ことが、安全管理上とても大切だと考えています。
こうした安全が確保されて初めて、ラグビーを始めた生徒がのびのびとプレーでき、選手として成長できるのだと思います。
まずは型を教え(守)、やがてそれを糧に彼らが自分で考え始め(破)、最後は彼ら自身が創造をする(離)。
多様で主体的な経験を経て、最後は彼らが自走するチームになってくれたらいいなと思います。
([2]につづく)