沖縄・名護で活動しているデイゴ ラグビースクール(以下、RS)が、地元紙の琉球新報、沖縄タイムスの紙面に大きく掲載された。沖縄テレビのニュースでも取り上げられた。
同スクールが3月11日、12日、名護市にある福祉サービス施設「フロンティア」を訪れ、施設利用者と子どもたちが触れ合う機会を作ったからだ。
同施設は、さまざまな障がいを持った人たちが利用している。近くの畑で、ともに野菜の収穫などをおこなった。
デイゴRSは新型コロナウイルス感染拡大にともなう臨時休校措置を受け、子ども(小学校低学年)受け入れ支援をおこなった。
共働きの家庭は少なくない。RSには小学校低学年の生徒が多い。スクールの代表を務める銘苅信吾さんはそんな状況を鑑みて、3月3日から同13日まで子どもたちを預かることを決めた(最大で1日に18人)。
「休校の記憶がつまらなかった、では寂しい。(感染)予防に気をつけながら、学校では経験できないことを経験してほしかった」と話す。
福祉サービス施設への訪問は、その一環だった。
参加した12人の子どもたちは、初日にジャガイモ、大根を収穫し、2日目は、それらを使って作ったカレーの施設利用者への配膳を手伝い、ともに食べた。
自分たちで枝を集め、浜辺で焚き火。焼き芋も楽しんだ。
銘苅さんは、長くワセダクラブで指導にあたっていた。早大ラグビー部でコーチを務めた後(2015年はヘッドコーチ)、故郷の沖縄に戻る。
デイゴラグビースクールを立ち上げて2年。忘れていた沖縄の子どもたちの逞しさに触れ、都会での指導スタイルと少し変えたところがあるという。
「沖縄の子どもたちは幼い頃から親ばなれしているんです。そして、子どもたちの世界を確立していて、自分たちの中に社会がある。だから、いろんな問題を自分たちで解決できるんです。そんな感じですから、(コーチ陣は)あまり介入せずに見守る。そんな指導スタイルにしています」
現在、スクールに通うのは未就学児童(年長クラス)から中学3年生まで60名。それぞれの年代別に分かれて週5日活動している。
その存在は地域で広く知られ、今回の預かり支援の際も、活動に賛同する企業(エナジック)が午前中の学習・読書の時間のためにスペースを提供してくれた。
地域全体で子どもたちを育てる環境がある。そこにラグビーが大きく関わっているのが素敵だ。
3月21日にはスクール第一期生の卒業式を開いた。9名の中学3年生がスクールから巣立っていった。
銘苅さんには夢がある。名護のこのラグビー環境で12年を過ごした子どもたちが高校3年生になった時、日本一になってくれることだ。
スクールの運営をしながら、母校・名護高校ラグビー部の指導に力を込める日々もこの春から始まる。
地域での存在感と、応援の声は、さらに大きくなりそうだ。