身長204センチ、体重120キロ。オーストラリア出身のマイケル・ストーバークは、体格に恵まれるうえ汗をかく。
「どれだけゲームに関与できるか(が自身のテーマ)。もっとフィットし、いい状態になれば、その点はさらによくなると思います。ラインアウトのコントロール、タックルなどの細かい点も精度を上げていきたい」
2016年に来日して近鉄入りした27歳はいま、国際リーグのスーパーラグビーに参戦中だ。
1月19日に国内シーズンの最終戦を終え、翌日にはスーパーラグビーへ戦うサンウルブズへ合流。「少し疲れはありましたが、来るのはわかっていたこと。リカバリーをしながら練習に励んでいます」と涼しい顔で、開幕から4戦連続で出場中だ。
36-27で勝ったレベルズとの開幕節、17-43と初黒星を喫したチーフス戦で、それぞれ14本、11本のタックルを放つ。いずれもチーム最多タイの記録だ。
5-64と猛攻を浴びたレッズ戦でも、チーム内単独1位となる16本のタックルを記録したストーバーク。前半20分頃には恵まれた体格を活かし、対するオーストラリア代表19キャップのWTBで身長186センチ、体重97キロのヘンリー・スぺイトを羽交い絞めにする。ボール保持者が立ったまま密集から球を出さない、モールパイルアップの判定を誘った。
ハリケーンズ戦では大外を破られての失点が多いため本人の守備機会は限られたが、結局チームで最も多い8本のタックルを試みる。前半4分には持ち前のランニングスピードを活かし、先制トライを決めている。
南半球の強豪国代表のひしめくこのプロリーグへ参加するのは、今年が初めてだ。チーフス戦終了時点では、「個人としてはここまでエンジョイしています。もっともっとプレーをしていきたい」と言った。
日本人を含め昨秋のワールドカップ日本大会に出た選手がジョージア代表のジャバ・ブレグバゼのみというサンウルブズは、開幕前から試練を強いられている。ただしストーバークは、その状況すら楽しんでいたようだ。
「私たちはスーパーラグビーのなかでもっともまとまっているし、それを短い時間で実現しています。まずはコーチ陣がいい仕事をして我々のやりやすい環境を作ってくれた。また選手個々のキャラクター、背景が出身国に関係なく似ている。全ての選手が共通して持っているのは、『何かを成し遂げたい』という思い。皆で共有できるストーリーがあり、それが皆を近づける背景になっています」
オーストラリアのクイーンズランドにいた頃は同国の20歳以下代表に選ばれ、2014年からの2年間はニュージーランドのノースランド代表として同国の地区対抗戦でプレー。いずれ日本では大型のハードワーカーとして知る人ぞ知る存在となり、プライベートではラーメンと寿司とカツ丼が好きになった。
近鉄の有水剛志ヘッドコーチは、ストーバークを12名いるチーム内リーダーの1人に指名。公式戦ではゲーム主将も任せた。課題に掲げていた「いい時と悪い時のムラ」も「だいぶ、なくなってきた」とし、スーパーラグビー開幕前にこう展望した。
「非常に賢い選手。チームハドルなどで試合中のポイントなどを的確に話せる。今後の彼のテーマは、彼が頭でわかっていることをスーパーラグビーレベルでどれだけ体現できるかになると思います」
昨年のラグビーワールドカップ日本大会で8強入りした日本代表では、全選手が身長2メートル以下。さらに空中戦と地上戦で身体を張るLOのポジションは、かねて層の厚みが求められていた。
国外出身者が代表資格を得る方法のひとつに、当該国での3年以上の継続居住がある。2020年12月31日以降は、その年数が5年に延びる。
ストーバークは一時帰国の期間などを除けば、現時点でほぼ確実に来日から丸3年を過ぎている。その存在を日本協会の強化部門にも注目されつつあるなか、日本代表資格をすぐに得られるだろうか。
「もしそうなれば光栄ですが、いまはサンウルブズでの毎週のパフォーマンスに集中する。そのなかで機会が得られればうれしいです。ラグビーでは、長いスパンで考えるよりもその時々のことにフォーカスをしていくのがいい」
日本代表入りへの意気込みを求められたら、目の前のタスクに集中したいという気持ちを述べたストーバーク。3月6日にはオーストラリアのウーロンゴンで、ブランビーズとの第6節に挑む。