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神戸製鋼が攻守で東芝を圧倒! トップリーグ連覇へ向け全勝キープ

2020.02.23

ダイナミックな走りを連発し、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた神戸製鋼のタウムア・ナエアタ(撮影:早浪章弘)


 優勝争いが予想される強豪同士の対決は、まさかの大差となった。
 ジャパンラグビートップリーグ2020は2月23日に神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で第6節の1試合がおこなわれ、連覇を狙う神戸製鋼コベルコスティーラーズが今季4勝1敗と好調だった東芝ブレイブルーパスを57-0と圧倒、開幕から6連勝となり、トライ量産によるボーナスポイントも獲得で勝点を28に伸ばした。

「こんな点差になると思わなかった」
 神戸製鋼のゲームキャプテンを務めたFL橋本大輝は試合後、そう言った。難しい試合になることを覚悟して準備し、最初から「自分たちのペースになるのに何分かかるかわからない」と言って臨み集中力高くプレーし続けたから、大差がついたのではないかと振り返る。

 デーブ・ディロン ヘッドコーチも「タフな1週間だった。いい準備ができた」と快勝を喜んだ。

 観客2万3647人が集まった注目のカード。神戸製鋼は前半だけで6トライを挙げ、試合の主導権を握った。
 トライラッシュの口火を切ったのは前半9分だった。赤いジャージーの8番をつけたタウムア・ナエアタがハーフウェイ手前から抜けて大きくゲインし、CTBリチャード・バックマンにつないで先制。18分にはゴール前のスクラムから攻め、東芝のプレッシャーに対し細かくつなぎ、WTB山下楽平が左外からインゴールに持ち込んだ。22分にはWTBアタアタ・モエアキオラが軽快なフットワークで次々とタックラーをかわし自陣深くから抜け、SH日和佐篤、CTBラファエレ ティモシーとつなぎ、最後は身長204センチ、体重121キロのニュージーランド代表LOブロディ・レタリックがハーフウェイからダイナミックに走り切り、会場を沸かせた。

 27分にも自陣のスクラムから攻め上がった神戸製鋼は、山下らの好走とボール継続で瞬く間に敵陣深くに入り、ナエアタがチームアタックをフィニッシュ。29分にはブレイクダウンでターンオーバーしたあと、日本代表CTBでもあるラファエレがディフェンスを抜け追加点を挙げた。昨シーズンのMVPであるニュージーランド出身の英雄、SOダン・カーターのゴールキックも好調で、神戸製鋼は大きくリード。ラファエレは33分にもカーターとの連係でディフェンスを切り裂き、40-0で前半を終えた。

 神戸製鋼の勢いは止まらず、後半早々には日本代表の若手有望株でもあるWTBモエアキオラがパワーでタックラーを弾き飛ばし、ゴールに持ち込んだ。75分にはキックパスからWTBアンダーソン フレイザーがトライを挙げ、50点超え。そして、試合終了間際にはラインアウトからのドライビングモールで締めくくった。

 トライラッシュとなった神戸製鋼だが、アタックだけでなく、堅いディフェンスも好調の要因となっている。実は、第4節から3試合連続で相手にトライを許していない。
 そのことについてディロン ヘッドコーチは、「コンビネーションがうまくいっている。選手とコーチ陣が仕事をやりきった。ホルテン(ニコラス・ホルテン アシスタントヘッドコーチ)が落とし込んでくれた。ディフェンスというのはチームの性格を表す」と確かな手ごたえを感じている。
 橋本ゲームキャプテンもタフな東芝相手に「ゼロで抑えられたのは素晴らしい収穫」とコメントした。

 一方、2003年に始まったトップリーグで優勝5回、日本選手権制覇6回など数多くのタイトルを誇る東芝は、直近の3シーズンは低迷したものの、今季は日本代表主将でもあるリーチ マイケルらを中心に開幕から4連勝で名門復活を期待され、この日の神戸製鋼戦でも最後まで奮闘したが、結局スコアすることはできず、完敗となった。

 今季から指揮を執るトッド・ブラックアダー ヘッドコーチは、相手となった神戸製鋼の強さについて訊かれ、「ボールキャリアとオフロード、速いブレイクダウン。タックルがうまくできないとオフロードされる」とコメント。そして、「彼らのクラスを見せられた」と完敗を認めた。
 キャプテンのSH小川高廣は、「最初のディフェンスで受けてしまった。そこがすべて。アタックする機会がなく、なかなかボールを取り返せなかった」と反省した。

 しかし、指揮官が「プライドのためにプレーしてくれた」と話した通り、東芝の熱き魂は消えていない。今季リーグはまだ6節を終えたばかりだ。

 首位のパナソニック ワイルドナイツとともに全勝キープの神戸製鋼は、次節も同会場で日野レッドドルフィンズと対戦する。4勝2敗(勝点18)で7位の東芝は、連敗ストップを目指し、29日には東京・秩父宮ラグビー場で3位のヤマハ発動機ジュビロと激突する。

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