ラグビーリパブリック

優勝争いのキーマンは東芝FLラベマイ。神戸に挑む [あすTL6節]

2020.02.22

「家族を支えたいから」。NZから日本へ航路変更し突き進むラベマイ(撮影:松本かおり)

 トップリーグ(TL)第6節の優勝争いをかけたビッグマッチ、神戸製鋼コベルコスティーラーズ―東芝ブレイブルーパス[23日13:00 兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場]がリーグ唯一の〝サンデー・マッチ〟として行われる。開幕5連勝と連覇へ加速する神戸製鋼は、前節を休んだSOダン・カーター、CTBリチャード・バックマンら主力メンバーが復帰。前節パナソニックワイルドナイツとの全勝対決を落とした東芝は、変更わずか2人というベスト布陣で王者に挑む。

 昨季はリーグ11位。過去9シーズン覇権から遠ざかる東芝だが、今季は〝クライストチャーチの英雄〟トッド・ブラックアダーをヘッドコーチに招聘。東芝伝統のフィジカルコンタクトを鍛え直し、アグレッシブにボールを動かすアタックも磨きをかけて開幕4連勝を飾った。

 この快進撃の中で攻守にエッセンスを加えているのが、昨春、拓大から加入したFLシオネ・ラベマイだ。身長190㎝、体重119㎏のサイズを武器にしたボールキャリーも魅力だが、ブレークダウンでのジャッカルなど密集戦での下働きでもチームに貢献。パナソニック戦も、タッチライン際で相手防御3人を突破してWTBジョネ・ナイカブラのトライをアシストするなどポテンシャルの高さを証明した。

拓大時代はNO8、LOでプレーしたが、「TLの選手は誰もすごいスピードがある。NO8の防御は難しいが、FLで片方のサイドを守ることに集中できているのでプレーしやすい」と開幕戦からブラインドサイドFLで能力を開花。開幕から5戦連続でスターティングメンバー(2試合はLO)入りと不動のメンバーに定着する。

 「最初の試合から毎試合使ってもらい、自信も持てているけど、もっとレベルアップしたいです。体もデカイし、すこしスピードもあるから、そこを生かしていきたい」

 たどたどしさもあるが日本語で自己分析するラベマイは、トンガ王国の首都ヌクアロファ近郊で生まれた。トンガ代表だった父親の影響もあったが「トンガの子供はみんなラグビーやっているからね」と物心ついたときには、友達と楕円球を追っていた。

 来日を決めたのは「家族をサポートしたいから。日本で仕事をすることがいちばんいいと判断した」とニュージーランドの高校から〝航路〟を変更。夢は着実に実現できている。

日本代表がベスト4以上に挑む2023年ワールドカップへの期待も高まるラベマイだが、「去年のワールドカップはテレビで見ていて、あのレベルでやりたいと思った。でも、いま大事なのは自分ができることをしっかりやること。いま東芝で頑張ることが、日本代表でも頑張れることになると思う」と目の前の1戦1戦に集中する。神戸製鋼については「ダン・カーター、レタリックとか子供のころからテレビで見ていた選手と一緒にプレーできるのはうれしい。相手はコンタクトの強い選手が多い。自分も強いのでワン・オン・ワンで頑張ります」と自信を見せる。流経大から入団2年目で、神戸製鋼で大ブレークする同胞、NO8タウムア・ナエアタとのフィジカルバトルに注目だ。

 前節までの総得点で神戸製鋼が261、東芝は169、トライ数でも38、26など多くのスタッツで昨季王者が上回る。前節で1敗を喫した東芝だが、好調のパナソニックに個人技からトライを許しながらも、残り10分までは互角の展開をみせた。復活の鼓動を高める中で、課題に浮上すタックル成功率78・2%が示す防御力の向上が次戦のカギを握るはずだ。(吉田 宏)