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好調クボタの黄金フロントスリー、上位かけ戦う[土曜・TL6節]

2020.02.20

キャップ数は豪州71、NZ48、日本55。フォーリー、立川、クロッティのコンビを見逃すな!(撮影:高塩 隆)

 トップリーグ(TL)は今週末に第6節が行われる。トヨタ自動車ヴェルブリッツ—クボタスピアーズ[22日14:00 愛知・パロマ瑞穂ラグビー場]は上位争いをかけた注目の一戦だ。

 TLでの直接対戦では2008年の勝利から4連敗中のクボだが、今季は開幕戦でパナソニックに敗れてから4連勝で4位につける。前節のサントリー戦で14—60と大敗して3敗目を喫し8位に沈むトヨタと、チームが置かれた状況は対照的だ。

 クボタの快進撃を支えるのは、南アフリカの名門ブルズを強豪に鍛え上げたフラン・ルディケ・ヘッドコーチ(HC)がこだわるパワフルなFWに加えて、SOバーナード・フォーリー、CTB立川理道、ライアン・クロッティが組む〝黄金のフロントスリー〟。オーストラリア代表71キャップのフォーリー、ニュージーランド代表48キャップのクロッティ、そして日本代表55キャップの立川が、ゲームを組み立て、ボールを動かすアンサンブルは必見だ。

 開幕前は、FWの外国勢起用のためこの3人の編成が難しいとも指摘されたが、ふたを開けてみればトヨタ戦まで6試合中4戦で先発トリオを組む。主将も務める立川は「ここ数シーズンでいちばん負担なくプレーできている。アタックならフォーリー、ディフェンスはクロッティがリードしてくれている。2人ともボールが動いている中でも、すごくコミュニケーションを取れるので、プレーの幅だったり選択肢が広がっている」と、世界トップクラスの2人に挟まれた新たな環境の恩恵を認める。

 パナソニック、神戸製鋼が全勝でトップを走る上位争いにキャッチアップしていくためにも落とせない一戦となるが、ルディケHCは「トヨタは激しさを持ったいいチーム。自分たちにフォーカスすること、80分間コンスタントにいいプレーをしていくことが重要になる。トヨタの強みがどこかはわかっている。SO中心にワイドにワイドにスピードを使ってくるし、パワフルな選手もいるのでしっかりと抑えていきたい」と準備は万全だ。

 対するトヨタは、前節の大敗からの巻き返しに挑む。優勝争いに生き残るためにも敗戦は許されない。先発FW8人の平均体重113.1㎏とクボタの109.5㎏を上回る。伝統の重量級FWで相手に重圧をかけて、南アフリカ代表FBウィリー・ルルーを軸としたアウトサイドBKが自在に動くのが必勝パターン。クボタのフロントスリー、トヨタのバックスリーの華麗な攻め合いも見どころだ。

 同じ瑞穂での第1試合は、三菱重工相模原ダイナボアーズが、強豪ヤマハ発動機ジュビロに挑む。12シーズンぶり2度目のTLに挑戦している三菱重工は、前節にNECを下して12シーズン前の初参戦も含めてリーグ初勝利をマークした。勢いづくチームには股関節の脱臼骨折という重傷からの完全復活をめざすFL武者大輔がリザーブ入りする。

 リコーから今季移籍してきた武者は、昨年7月6日に行われたクボタとのトップリーグ・カップで左足股関節を脱臼骨折。骨頭といわれる部分が割れ、関節部分がえぐられたことで壊死する恐れもあったが、「必ずプレーできると信じてリハビリを続けてきた」と復帰を信じてリハビリを続けてきた。1月26日の古巣リコーとの練習試合に出場したが、本人も「まだ関節の部分も不安定だし、自分のプレーはできなかった」と完調とは言えない状態だったぶん、次戦での復調をアピールしたい。激しく、しぶといジャッカルは〝流行り〟の忖度なし。対戦相手から〝最も嫌な選手〟と呼ばれるボールハンターの再起をかけた挑戦にも注目だ。(吉田 宏)
 

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