ラグビーリパブリック

大きく育つか中野将伍。「負ける感覚はない」というフィジカリティを、もっと強く。

2020.02.20

チーフス戦の後半16分、相手ラインアウトのこぼれ球に反応して自陣から走った中野将伍(撮影:松本かおり)


 多国籍軍にあって、プレー中のコミュニケーションはほとんど英語だ。

「指示などの簡単な会話は通訳の方に教えてもらったものを覚えたりして」

 早大4年の中野将伍は、日本のプロクラブ、サンウルブズの一員としてスーパーラグビーに挑戦中だ。

 身長186センチ、体重96キロという恵まれたサイズの日本人CTBは、大学ラグビーシーンから国際プロリーグへの飛び級を体験している。

 2月1日に福岡・レベルファイブスタジアムでおこなわれた開幕節では、レベルズに36-27で勝利しながら3分間出場の中野は「ボールを1回も持っていなかったですし、うまくいかなかった」。守っては腰高なタックルを相手に弾かれ、ピンチを招いていた。

「(相手との間合いを)詰めようかなと狙って、それを中途半端に途中で止めてしまったところを、抜かれてしまった」

 15日、東京・秩父宮ラグビー場。チーフス戦に向け、決意を新たにした。

「今回はいつも通りやろうと考えました」

 後半16分から登場。まもなくFLのミッチ・ジェイコブソンのオフロードパスをもらい、目の前にいる2人のタックラーを抜き去る。自陣22メートル線付近から同22メートルエリアまで快走した。

 続く34分には、敵陣中盤左中間から左へ展開。自らパスを放ったFBのジェームズ・ダーガヴィルを右側から援護し、トライも記録した。

「外のスペースでコミュニケーションを取って攻めて、いいサポートができて…。最後にボールをもらった時はトライまで持っていくつもりで走りました」

 守っても「きょうは横とのコネクションを保ちながら…という意識。ちょっとずつよくなってはきている。今後はもっとドミネート(タックルで圧倒)できるようになっていきたい」と進歩を実感。しかし、17-43で敗れている。

「フィジカルの面はポジティブに捉えていて、負けるという感覚はないんですが、思いっきり勝っているという感覚もない。これからはもっと身体を大きくして、ボールをもらう時のスピードをつけないと、ラインブレイク、突破にはつながらないと思います。日頃の練習からそこを意識しながらやるしかないです」
 
 現在地を謙虚に見据えるなか、目指しているのは早期の日本代表入りだ。

 昨秋のワールドカップ日本大会では、頑健さとスキルとタックルへの意欲に定評のある中村亮土、ラファエレ ティモシーがレギュラーCTBを担っていた。

 その隊列に割って入りたい中野はいま、同僚の名手に刺激を受けている。

 サンウルブズには元イングランド代表CTBのベン・テオがいる。身長188センチ、体重105キロの33歳から、中野は「球のもらい方、抜けだした時のオフロードのうまさ」を学んでいるという。

「フィジカルで勝負したい。そういう面ではサイズを大きくするのも考えのひとつと捉えています。ただ、いきなり増やして身体がついてこないのもよくないので、少しずつ…」

 22日にはブリスベンでレッズに挑む。世界中を転戦しながら、大きく育ちたい。

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