ラグビーリパブリック

谷田部洸太郎、2023年への道。サンウルブズでの開幕2連勝を第一歩に。

2020.02.11

2020スーパーラグビー開幕節のレベルズ戦で攻守に奮闘したサンウルブズLO谷田部洸太郎(撮影:Hiroaki.UENO)


 先発して退くまでの47分間で7本のタックルを打ち込む。心境は、「覚悟を決めて、やっていました」。国内トップリーグのパナソニックに在籍する谷田部洸太郎は現在、サンウルブズに移って国際リーグのスーパーラグビーへ挑んでいる。

 「覚悟」を持って刺さったのは、2月1日の開幕節。福岡・レベルファイブスタジアムでレベルズを36-27で下していた。

「どんどんボールを動かそうとして、それがいい形でつながりました」

 身長192センチ、体重107キロの33歳。国士舘大時代は無名の存在も、パナソニック入社6年目の2014年にブレイク。当時指揮官となったロビー・ディーンズのもとでタックルの技術を磨き、LOの定位置をつかんだ。
 
 以後は海外出身者との定位置争いを強いられながら、2016年に日本代表デビュー、2017年にはサンウルブズの一員としてスーパーラグビーも経験した。

 目指していた2019年のワールドカップ日本大会には、出られなかった。いま目指すのは、2023年の同フランス大会出場だ。この頃には37歳となっているが、日本大会に出たLOには38歳のトンプソン ルークがいた。
 
 自分でもできる。谷田部は己に言い聞かせる。

「出た選手がいい結果(8強入り)を残してくれたことにも勇気をもらいましたし、自分自身もやれるな、と。トンプソン選手は38歳で、自分はまだ33歳。まだまだいけるな、と。まだまだチャレンジし続けたいと思います」

 今季は国内トップリーグとスーパーラグビーの日程の多くが重複。サンウルブズは選手集めに苦しんでいた。

 一方で谷田部は、パナソニックの飯島均ゼネラルマネージャーを介して聞いたサンウルブズからの誘いに迷わず首を縦に振った。海外クラブとのバトルを通し、日本代表が求めるタフさを身体にしみこませるつもりだ。

「(スーパーラグビーでは)トップリーグで感じたことのないプレッシャーもあり、自分のなかでは成長できる場だと思います」

 サンウルブズは、複数の国から選手が集まる連合軍。特に今季は過半数を新顔で占めるが、始動から約4週間で開幕戦勝利をつかんでいる。

 元イングランド代表CTBのベン・テオいわく、「約4週間。選手へ何をどう詰め込むかの順序立てが重要だったのですが、彼ら(首脳陣)は素晴らしかった」。大久保直弥ヘッドコーチ、沢木敬介コーチングコーディネーター、太田千尋ヘッドS&Cコーチのプランニングが際立っていた様子だ。休息週を挟んで迎える第3節へも、具体的な攻略法をスムーズに落とし込む。

 10日、千葉・市原スポレクパークの練習では、沢木の「最初の3フェーズ、こだわる!」との声が響く。レベルズ戦でもセットプレーから短い手数でスコアをもぎ取っていただけに、期待感を高める。

 15日、東京・秩父宮ラグビー場でチーフスとぶつかる。谷田部はうなずく。

「チーフスは前に出るディフェンスをするのですが、(サンウルブズは)パスでリンクをすれば(トライを)獲り切れる。最初の3フェーズでパスをつなげられるよう、意識しています」

 チームでは同じパナソニックでFLの布巻峻介がリーダーシップを取っているとし、「布巻はいい意味で僕をいじってくれて、日本人の学生選手も話しやすいムードを作ってくれている。助けられてはいますけど…一応、先輩なので」と周囲を笑わせる。自身は「覚悟」を決めてひたひたと地を這い、背中で引っ張る。

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