ラグビーリパブリック

6か国対抗開幕連勝狙う「改革」フランス。前戦から先発変更はひとり

2020.02.09

前週のイングランド戦で初キャップのCTBアルチュール・ヴァンサン(右)が先発する。(写真/Getty Images)



 シックスネーションズの今季開幕戦でイングランドを撃破(24-17)。好調なスタートを切ったフランス代表が2月9日、イタリア戦を迎える(スタッド・ド・フランス)。

 同代表は2月7日(金)、フランス時間の午後2時にイタリア戦メンバーを発表した。
 イングランド戦で腕を負傷したCTBヴィリミ・ヴァカタワの代わりに、昨年のU20W杯で優勝したチームをキャプテンとして率いたアルチュール・ヴァンサンが入った。

 ヴァンサンについて、首脳陣の信頼は厚い。
 ファビアン・ガルチエ監督は「完璧な経歴、U20で2度優勝し、そのうち昨年はキャプテンだった。モンペリエでも安定したパフォーマンスを見せている。このチームはここまでに7回の全体練習と試合を1回したばかり。その中で、アルチュール(ヴァンサン)は常に存在感があり、パフォーマンスも良かった」と話す。

「彼に期待することは、彼自身であること、彼の強みを出すこと。彼は若さと成熟を兼ね備えている。左右CTBをプレーでき、制御することもできれば、加速することもできる。一緒にプレーするチームメイトに適応できる。普段通りのパフォーマンスを期待している、それ以上は求めていない」

 ラファエル・イバネスGMも、「彼は驚くほど容易にチームに溶け込んだ。若い(20歳)が成熟している。何よりも彼の真摯な姿勢が素晴らしい。また我々が求めているのはキャプテンを補佐できる選手で、アルチュールとはすでに意見交換しており、彼の年齢ですでにラグビーのビジョンについて話し合えるような選手を持てることはこのチームにとって大切」と高い評価を口にした。

 ガルチエ監督が「フィニッシャー」と呼ぶリザーブには、LOのロマン・タオフィフェヌアが今回新たに加わり、FW6人、BK2人の構成となった。
 先発BKにはユーティリティープレーヤーが揃っている。またイタリア戦当日の天気予報は雨。それらの要素を踏まえての判断だ。

 イバネスGMは「強いセットピースのイタリアに合わせた選択。前回の試合のメンバーを引き続き登用し、さらにポテンシャルを強化して、FWに自信をつけさせたい」と説明する。
 監督は「セットピースはディフェンスより時間がかかる。セットピースはFWだけではなくチーム全体に影響する。まずセットピースの責任を担う選手を強化する。日曜日(イタリア戦)、このセクターが強化されたところを見せる」と付け加えた。

「先週はイングランドが優勢と見られていて必死に戦った。今週はこちらが優勢。劣勢と見られているイタリアに負けてしまう心配はないか?」という記者からの問いに、ガルチエ監督は、「そのことについては、火曜日の午後にチーム全体で話し合いをした。ラグビーについて、生活について、そして大会マネージメントというテーマがあり、それは大会マネージメントに入る。先週と立場が変わるが、そのような変化に対しても準備はしている」と答えた。

 イバネスGMは「そこで言われたことのひとつに、すべてにわたって警戒するということがあった。ラグビー面においては、トレーニングや時間の使い方すべてに集中するということも徹底する。また、イングランド戦を振り返ると、プレー面で改善するべきところがいろいろあることをしっかり感じている。あの試合はマインドセットのおかげで試合に勝てた。そのマインドセットで内容をさらに上げていきたい」と話す。

 イングランド戦翌日の会見で「イタリア戦のメンバーは、大きく変えてポジションごとの競争を作るのか?」と質問されたとき、ガルチエ監督は「競争ではなく協力。大切なのはチームを作っていくことだから、意味のないメンバーチェンジはしない。少し修正して違ったビジョンを持ったり、我々のオーガナイゼーションに新しいものを取り込むためや、キーになるところを改善するための交代はあり得る」と言っていた。

 近年のフランス代表は、選手同士の息が合う前にメンバーが変わることが多く、安定したチーム作りができていなかった。同監督は、それを指摘していた。そして、実際にこれまでと違ったアプローチをしている。
 指揮官は「隠して練習する時間はない」と、メンバー発表前でも先発予定選手に青いビブスを着用させる。合理的な改革を進めるチームへの期待は大きい。


(文/福本美由紀)


◆フランス代表/イタリア戦メンバー

  1. シリル・バイユ 26歳/18C
  2. ジュリアン・マルシャン 24歳/3C
  3. モアメド・アウアス 25歳/1C
  4. ベルナール・ルルー 30歳/38C
  5. ポール・ヴィレムセ 27歳/4C
  6. フランソワ・クロス 25歳/3C
  7. シャルル・オリボン(主将)26歳/12C
  8. グレゴリー・アルドリット 22歳/12C
  9. アントワンヌ・デュポン 23歳/21C
  10. ロマン・ンタマック 20歳/13C
  11. ヴァンサン・ラテーズ 27歳/4C
  12. ガエル・フィクー 25歳/52C
  13. アルチュール・ヴァンサン 20歳/1C
  14. テディー・トマ 26歳/17C
  15. アントニー・ブチエ 27歳/1C
  16. ペアト・モヴァカ 23歳/2C
  17. ジェファーソン・ポワロ 27歳/34C
  18. デンバ・バンバ 21歳/8C
  19. ロマン・タオフィフェヌア 29歳/14C
  20. ボリス・パリュ 23歳/1C
  21. カメロン・ウォキ 21歳/1C
  22. バティスト・スラン 25歳/33C
  23. マチュー・ジャリベール 21歳/2C
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