ラグビーリパブリック

姫野を超える。吉田杏、サンウルブズ合流

2020.02.07

「バックローでアピールしたい」と吉田杏。小阪中、大阪桐蔭、帝京大出身でトヨタでは2年目(撮影:福地和男)

「普段ごく近くにいる先輩が、ワールドカップで活躍しているのをみるのは、悔しかった」

2月6日、開幕戦をみごと勝利で乗り越え、活動を再開したサンウルブズに、また新メンバーが合流した。トヨタ自動車ヴェルブリッツ、吉田杏(よしだ・きょう)が、チームのホームグラウンドである市原スポレクパークで、スコッドメンバーに選ばれ、初めて練習に参加。2019日本代表NO8で、トヨタのチームメート姫野和樹への、プレーへの熱い気持ちをまっすぐに語った。

 FWの最後列であるFL、NO8でアピールしたいという吉田は、連覇期の帝京大ではWTBの位置にも入りチームを牽引した存在。昨季トヨタでは、ルーキーながらリーグ戦全11試合中9試合出場の実績もある。しかし今季は、オールブラックス主将のキアラン・リードの加入で、チャンスが限られている。

 サンウルブズからのオファーを受けて、新しいチャレンジに身を置くことに決めた。

「キアランが来て出番がない状況で、このお話があった。これまでも置かれた環境で自分自身ができることは何かを考えてきたが、やはり、ラグビーの経験がなくなる状況が続くのを避けたかった。また違う環境で自分を磨きたいと考えました」(吉田)

 2019年ワールドカップで初8強、躍進の日本代表を引っ張っていたNO8姫野和樹は、吉田にとっては「いつもそばにいる存在」だ。帝京大、トヨタで一つ上の先輩。ポジションも同じNO8だ。

「プライベートでもいつも一緒にいるし、大学時代からあの人の背中を追いかけてきた。その選択に今も間違いはないと思っているし、見習って…あの人のいい部分は吸収して、自分は自分の特徴を生かしていきたい。近づいて、追い越さなきゃいけない存在だと思っています」

 兄のように慕う姫野とは、面差しも似て見えることがある。

「プレースタイルも一緒なので、チームの映像などを見ていると、どっちがどっちか分からないと言われることもあります。動きの感じが似ているかもしれません」(吉田)

 それほど親しい先輩・姫野であっても、2019年の活躍を見せられると、悔しい、と感じた吉田。トヨタから、新しい挑戦の場に移って、成長への意欲はいや増している。

 より外国人の多いサンウルブズの環境は、プレーだけでなく、コミュニケーション面、日常生活面でも順応が求められる。

「自分がコミットするのみ。ただ、自分のする仕事、プレーは曲げずにチームに貢献したい」

 2020のサンウルブズに、またハングリーな狼が加わった。