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「原点に帰る」目黒学院が優勝 2019年度東京都高校新人大会

2020.02.03

真っ向勝負で目黒は栄光をつかんだ(撮影:見明亨徳)


 今年12月に開催される「第100回全国高校ラグビー大会」(花園ラグビー場)を目指した戦いはすでに全国で始まっている。
 1、2年生が出場する2019年度の「東京都新人大会決勝」が2020年2月2日に葛飾区奥戸総合スポーツセンター陸上競技場でおこなわれた。
 勝ち進んだのは、2017年度東京第1地区代表の目黒学院高、同第2代表・國學院久我山高。ともに全国制覇の経験を持ち、3大会ぶり花園を狙う両校の顔合わせになった。

 試合は開始早々から目黒がパワーランナーの豪快な突破でトライを重ね計10トライ、60-12(前半 31-12)で圧勝した。目黒の東京制覇は花園都予選以来。両校は2月15日から開催の「関東高校新人大会」に出場する。

 目黒は前半最初のアタックで久我山陣へ入ると、フォワードがつなぎFLソロモネ・フナキのゲインライン越えを機にゴール前へ。最後はLO川嶋凌太が中央インゴールへ運び先制した。7分、久我山は目黒のハイタックルを受け、PKから右22メートル線のラインアウトへ。きれいなオープンラグビーを見せ、左中間へFL田沼英哲がトライラインを越え、コンバージョン成功で7-7に追いつく。

 しかしここから目黒は「原点に帰る。真っ向勝負で挑む」(竹内圭介監督)のラグビーを進める。14分、ラインアウト起点にLOシオネ・ポルテレへ渡り、ディフェンスを置きざりにしたトライで勝ち越す。20分にはゴール前でPKのボールをタップし自ら左中間へ運んだ。5分後にもトライを重ね、26-7とする。久我山が展開して1本返すと、リスタートからポルテレが取り切り、31-12で後半へ。

目黒、パワーランナーたちがゲインを重ねる(撮影:見明亨徳)

 竹内監督が明かす。
「このチームがスタートした去年11月3日(都第1地区準決勝で東京高に28-31で敗戦)、小細工するラグビーはやめよう。フォワードの強みをいかした真っ向勝負でいこう、と決めました」

 選手は後半も応えた。2分にポルテレの突破を機にトライ、7分はフナキが連続トライ。25分すぎから彼らをおとりに使い、CTB中村安利がファイブポインターとなる。最後は主将SH飯島乾太がハーフラインのスクラムから持ち出し栄冠を飾った。

 「先週の試合(準決勝、早実に24-21で逆転勝ち)はなんと言うか、小さなラグビーをしていた。早実のディフェンスが良かったのですが。1週間、楽しむラグビーをしようと準備してきました。きょうは楽しんでいましたね」と竹内監督は話す。次の目標は、関東大会を勝ち進んで全国選抜出場だ。

 敗れた久我山。土屋謙太郎監督は「まだまだ。目黒ということではく1対1のディフェンスでしっかりやろうと準備はしてきました。2人目3人目に差し込まれてトライを奪われた。一つ一つ基本を徹底して身につけて積み上げていかないと。関東大会に出るというのはおこがましい」と結んだ。

本郷は早実ディフェンス網を破れず(撮影:見明亨徳)

■早実がゼロ封で3位を確保

 決勝の前におこなわれた3位決定戦は、3大会連続で花園をかける本郷高対2大会ぶりを狙う早稲田実業高等部。花園出場以降、準備期間が短かった本郷を早実が24-0(前半 5-0)のゼロ封、3位を確保した。

 試合は前半から早実が本郷陣に入るもなかなか仕留めきれない。7分、本郷は自陣スクラムを得て初めて早実陣へ。しかしノックオンのミスで機を逸した。
 得点が入ったのは13分、本郷22メートル線左ラインアウトを早実が活かす。まずは右へボールを動かしてゴール前へ迫る。ラストは左へまわしWTB三浦哲が左隅へ飛び込んだ。
 早実ディフェンスはラックで人数をかけない。それを見た本郷ベンチからは「モールを組んで行け」と指示がでる。しかし本郷フォワードはラックサイドを突くも立ってプレーしない。苦しくなって外へ回すと早実ディフェンスが待っていた。27分には、この状況でノットリリースを犯す。
 28分ようやくゴール前ラインアウトのチャンスを得る。モールを組みインゴールへ運んだが、ボールを地面に置けなかった。5-0で前半を終えた。

 後半4分、本郷の早実ゴール前ラインアウト。ここも投入したボールがまっすぐ入らなかった。8分、早実がセットプレーからボールを動かすとFB山下一吹が右中間へトライを決めた。ゴールキックは主将SO守屋大誠が確実に成功し、12-0。以後も早実が優勢、2トライを加え24-0で終えた。

 守屋は話す。「先週、勝ちを逃した。最後の一つの判断ミスで。きょうはディフェンスから行こうと準備しました。特にフォワードのディフェンスが良かった」。2019年度大学日本一へ返り咲いた早大。メンバーには早実歴代4主将が名を連ね貢献した。「練習で早大を使わせてもらうこともある。日本一の雰囲気を味わえる。選手のポテンシャルにつながっています」と守屋。

早実司令塔SO守屋がゲームを支配(撮影:見明亨徳)

 本郷は準決勝の久我山戦、早実と同じように17-5とリードしていながら17-19と逆転されていた。野上敦司監督は「試合経験値、この局面で何をしようという発想がまだ不足しています。きょうもベンチは早実のディフェンスを見てモールを指示したが、選手にはまだモール選択の準備ができていませんでした」。

 関東大会を逃した両校は、都春季大会に備えて鍛えていく。
 第100回記念大会となる今年の花園。都は今回の4校をはじめ8強入りした明大中野高、東京高に都立2校青山、狛江などを中心に戦いが続く。