いつもと違う光景だった。
青い空とグリーンのピッチ。好天に恵まれはしたけれど、今年は『雪見』ラグビーになった。
2月2日に青森・弘前でおこなわれた第54回津軽雪上ラグビー大会だ。
降雪量がとても少ないこの冬。会場の東奥義塾高校グラウンドには積雪がなかった。
予定されたスケジュールは人工芝グラウンドでおこなわれ、大人から子どもまで、多くの人が楕円球を追った。
13年前にも雪不足の冬はあった。
そのときは同市内の別の場所が会場に予定されていた。土のグラウンドだったため、「雪がなければ危険」との判断で大会自体が中止に。今回は雪の上でこそ起こる愉快なプレーは見られなかったが、大会が実施されたのは関係者の尽力もあったからだ。子どもたちがグラウンド周辺の雪の上で遊ぶ姿が微笑ましかった。
7人制の7分ハーフで実施された各カテゴリーの試合。真剣勝負の「スパイクの部」ではSCRAPSが、「ながけりの部」ではオールホワイトが優勝した。
ながけりの部は、長靴とヘッドキャップの着用が必須だ。本来は雪と長靴の影響によって各プレーヤー、各チームの実力差が縮まる。しかし今回は雪を味方につけたかったチームはアテが外れた形で、スピード、パワーのあるチームや、若手が多いチームがグラウンドを走り回った。
元日本代表の松尾勝博さん、村田亙さんもプレーヤーとして参加するも、なかなかチームを勝利に導けず悔しい結果に。松尾さんは大会最後の挨拶で「来年は雪の上でやりたいです」と話し、笑いを誘った。
女子の部や子どもたちの部では弘前サクラオーバルズのジャージーを着た選手、ちびっ子が駆け回り、地域でのラグビー人口増加を感じさせた。
高校の部で優勝した青森工の田邉龍雅(りょうが)主将は、雪がなかったのは拍子抜けも、「いつも練習していることが出せた。コミュニケーションをとってプレーしました」と話した。
新人大会では、昨年末の花園に初出場を果たした青森山田に敗れたので、当面は「山田に勝つチームになる」のが目標と話した。