サンウルブズで自身3季目の開幕を迎える布巻峻介は、「オラオラ感」という言葉でチームにみなぎるヤル気を表現した。
チームは2月1日、福岡・レベルファイブスタジアムで5季目のスタートを切る。今季限りでスーパーラグビーから除外されることが決まっている。
ワールドカップに向かう日本代表の強化の一環。その要素が強かったこれまでのサンウルブズとは違い、サクラのジャージーとの関連性は例年ほど強いわけでもはない。トップリーグ開催時期と重なっており、昨年、世界を驚かせた日本代表選手もいない。
その中に身を置いて、布巻が言う。
「環境とかメンバーでいうと(他チームより)劣っているとは思います。厳しい戦いになるでしょう。ただ、オーガナイズされてはいませんが、いつもの年より(チームに)オラオラ感というか、やってやるぞという空気があって、いい感じなんですよ」
初戦の相手は昨季2敗(15-42、7-52)しているレベルズだ。
SHウィル・ゲニア、SOクウェイド・クーパー(ともに現近鉄)が抜けたとはいえ、BKにオーストラリア代表選手を揃えた強豪。合宿が始まって1か月も経っていないチームが勝利を得るのは簡単ではない。
しかし、日本代表キャップを持つ27歳のFLはわくわくしている。
「プレッシャーに自分から立ち向かう。そういう時って楽しいじゃないですか」
昨年開催されたワールドカップには参加できなかった。最後の最後までメンバー入りを争うも外れる。大会中は「ケガ人が出たらいつでも行けるように準備していた」から気を張った日々を過ごした。
大会終了と同時に「いちばんの存在になる」と切り替えた。
当初、頭にあったのはトップリーグ。だから、「サンウルブズのオファーをいただいても、最初は自分でフタをしていた」という。
しかし、心は動いた。
「自分がもっとも成長できる場所。そう考えたとき、そこはスーパーラグビーかな、と思ったんです」
所属するパナソニックの首脳陣と話し、「そこで成長したものを持ち帰ってくれたらチームのためになる」と理解ある言葉をもらう。サンウルブズの大久保直弥ヘッドコーチの「参加してくれた選手全員を絶対に成長させる」という心意気にも触れ、覚悟を決めた。
スーパーラグビーを「日本代表の成功に欠かせなかったもの」と話す。「ここで日本の選手たちが強くなったのは間違いない」と2016年からの4年間を振り返る。
自身も体感した。
2017年にクルセイダーズと対戦したときのことだ(3-50)。自分はタックルで相手を仕留めたと思ったのに、顔を上げるとボールをつながれ、トライになっていた。
「接点も理詰めです。いつの間にか自分たちが罠にかかっている。それまでそういう感覚を味わったことがなかった」
ジャパンの進化、自身の体感を通して、あらためて思っている。
「スーパーラグビーが身近なものとなり、その価値が(以前より)ぼやけてしまっているかもしれません。トップリーグのレベルも上がりましたが、スーパーラグビーをサンウルブズで経験できるという価値は相当なもの。(世界を目指す)若い人たちは、ここでやるか、こういう世界を知っておかないといけない。そのためにも(今季)良い結果を残す。そうすれば、何かが(今年限りで除外されるという事実が)変わるかもしれない」
大久保ヘッドコーチは「エナジーが感じられない試合は絶対にしない」と言い切る。
布巻峻介は、チームのエナジーを生む存在になる。