熱闘が続くトップリーグは今週末に第4節を迎える。
4節第1日4試合の注目カードはサントリーサンゴリアスvsNECグリーンロケッツ[2月1日(土)13:00 大阪・万博]。ともに東京・港区に企業拠点を置く両チームが、大阪で激突する。
3節を終えてサントリーは1勝2敗(10位)、NECは3連敗(15位)。苦しい序盤戦を強いられる中で、サントリーは前節で昨季王者の神戸製鋼コベルコスティーラーズと29-35と渡り合うなど戦闘力は整いつつある。神戸製鋼戦後にSH流大主将が「細かいところで最後は差が出たかなと思う」と語ったように、攻守の精度アップができれば、十分に上位争いに参戦できるポテンシャルをみせた。
メンバーには、シーズン終了後にフランス・トップ14の強豪クレルモン・オーヴェルニュ入りを発表したばかりのFB松島幸太朗、CTB中村亮土に加えて、初先発となるHO北出卓也、FLツイ ヘンドリックとワールドカップ戦士が今季最多の4人。ベンチスタートの流主将を加えると2019年大会参加選手全員が揃う。
ワールドカップでの大活躍のまま、開幕からラン、空中戦と高いクオリティーを見せる松島だが、新天地での挑戦も正式に発表されて気持ちを充実させて臨む試合となる。節目の試合、大一番で力を発揮してきただけに、万博での大暴れに期待が高まる。初先発の北出は、日本代表では対戦相手対策でチームに貢献して、〝北出丼〟などの話題作りでメンバーを和ませてきたが、ワールドカップでプレーできなかった悔しさは人一倍。背番号2での爆発を誓う。
ワールドカップメンバー以外でも、注目選手はめじろ押しだ。元オーストラリア代表SOマット・ギタウが開幕戦以来3戦ぶりにスターターリスト入り。先発する日本代表勢4人のポテンシャルを引き出すゲームメークが期待される。ベンチスタートになったが、ルーキーながらコンタクトの強さを生かしたボールキャリーが光るNO8テビタ・タタフ、卓越したキックコントロールと速いテンポのアタックでランプレーを際立たせるSO田村煕といった2023年ワールドカップを目指す若手の活躍も注目だ。
対するNECは、サントリーに2013年シーズンの勝利から苦杯を嘗めさせられてきた。國學院栃木高教員から古巣の再建に戻ってきた浅野良太ヘッドコーチのもと、伝統の激しいブレークダウン、防御をベースとしたラグビー復活をめざすが、開幕の宗像サニックスブルース戦では接点の攻防で重圧を受けて惜敗した。その後も日野レッドドルフィンズ、キヤノンイ―グルスと下位チームに連敗。フィジカルバトルでの覚醒がチーム浮上の課題になる。
苦境の中で、今週末はSOスティーブン・ドナルドが今季初めてのメンバー入り。2011年ワールドカップ優勝メンバーの元オールブラックは、サントリーも含めた4チームでプレーする日本ラグビーを知り尽くす司令塔。長いリーチを生かしたオフロードパスなど日本選手の弱点を突くアタックで、チームをリードできれば勝機も見えてくる。
アタックのサントリー、ディフェンスのNECと対象的なキャラクターの両チームだが、前節のサントリーは神戸製鋼のパワフルなブレークダウン防御に手を焼き攻撃のテンポを上げられなかっただけに、自分たちの強みを出せるかが注目される。NECが密集戦でどこまで激しく、しぶとく戦えるかもキーポイントになりそうだ。(吉田 宏)