ラグビーリパブリック

来季クレルモン入り松島幸太朗は、後ろを振り向かない。

2020.01.31

来季の海外移籍も決まり、いま最も注目されている松島幸太朗(撮影:松本かおり)


 1月28日、フランスリーグ・トップ14のASMクレルモン・ オーヴェルニュ入りを発表した松島幸太朗。日本代表として昨年のワールドカップ日本大会で5トライをマークし、株価を上げていた。

 現在は、サントリーのFBとして国内トップリーグでプレーする。

「どうせ圧力が僕に来るだろう。周りの選手を活かすことを意識してやりました」

 左中間、右中間のスペースで球をもらって持ち前のフットワークを披露しながら、両タッチライン際のランナーへのお膳立てを強く意識する。12日の開幕節(●19―26/対 東芝/東京・秩父宮ラグビー場)では、タックラーに迫られながら自分の股下を通すパスでトライを演出した。

 26日、兵庫・ノエビアスタジアム神戸。昨季のレーオフ決勝で屈した神戸製鋼から29-35で今季2敗目を喫した。

 ボールの保持時間を増やす作戦が奏功して先制トライなどを奪ったが、ミスボールを拾われての失点などに泣いた。

 もっとも、ニュージーランド代表112キャップのSO、ダン・カーターらの攻めに組織的に対抗。「ディフェンス自体はよくなってきている」と手ごたえを語る。

「神戸の戦術とサントリーの戦術は似たところがあって差はほとんどないんですけど、『ミスをした後にどこを攻めるか…』というところ(判断)で神戸製鋼が一枚上手だったなと。(サントリーは)やりたいことはしっかりできたところはありましたけど、回し過ぎたところもあった。キックを蹴るタイミング、走るタイミングはもっとうまくできるところがある。選手同士のコネクションが今後の課題になってくるかなと。シーズンが深まるなかでもっといいチームになる雰囲気がある。成長を止めないようにしたいです」

 後ろは振り返らない。その気質がにじんだのは、前半15分頃のワンプレーについて話した時だ。

 ここでは松島がラストパスを送ったWTBのテビタ・リーがインゴールノックオン。無事フィニッシュしていれば7-3から12-3とリードを広げていただけに、スタンドからはため息が漏れた。

 試合後の取材エリアでも、松島は記者団からこの件について聞かれた。

「あそこでとっていればチームとしての自信がついたと思う。1週間やってきた戦略の部分(の成果で生まれたチャンス)だったので」

 正直に答えたうえで、最後はこうまとめる。

「…ただそれはまぁ、(チーム内で)話した部分。もう、大丈夫です」

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