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神戸が昨季決勝カード制す。パナは全勝全BP=トップリーグ3節

2020.01.26

ラファエレ ティモシーは日本代表キャップ23。昨年までコカ・コーラ、サンウルブズで活躍。2019日本代表ではビッグマッチで、攻守に重要な働き(撮影:早浪章弘)

 第3節を迎えたトップリーグ(TL)は、25日、26日の週末に8試合を行い、パナソニックが前節に続いて首位を維持、同じく3連勝の神戸製鋼、東芝が続いている。パナソニックはクボタ、トヨタ自動車、三菱重工相模原と戦って全試合でボーナスポイント(BP/相手とのトライ数差3で)獲得の好調スタート。2勝は4チームで、宗像サニックス(NECとNTTドコモを破る)の健闘が光る。

 昨季TL決勝と同じ組み合わせとなった神戸でのゲームは、2万6312人と今節最多の観客を集めた好カード。昨季王者の神戸が、後半序盤からの勝負どころを制して、35-29の勝利を収めた。サントリーは3戦1勝の苦いスタートだ。

 勝負を決定づけたのは神戸製鋼の後半の連続トライ。神戸20-16サントリーと競り合い、力をぶつけ合う時間帯に、2本のトライで16点差まで持ち込んだのが大きかった。ここで渋い活躍を見せたのが神戸製鋼CTBの背番号13、ラファエレ ティモシー(2019年日本代表)だ。

 味方の流れに溶け込みそれほど目立たない、しかし、効果的なラファエレの働きだった。

 20-16を25-16とした神戸のトライは後半5分。左側のタッチライン側で次々と突破に成功し、相手ゴール前に食いこみ、右側に大きくボールを振って決まったものだった。

 ラファエレが貢献したのは左側の前進の場面だ。中盤の中央スクラムから左に回されたラインに参加も、流れを殺さずシンプルに飛ばしパス。味方WTB山下楽平のランを促す。山下が捕まった後のラックに素早く駆けつけると、相手をがっしりとホールド。再び起き上がって前進を図る山下を巧みにエスコートした。この山下にさらにフォローし、相手選手がボールに絡むのを防いだのが大きかった。FWのような働きだった。右に大きく展開されたボールは、ライン裏へのキックをアンダーソン フレイザーが押さえ5点が加算された(Gは失敗)。

 連続得点は勝利へのカギ。後半16分に30-16(G成功で32-16)とした神戸の追加点は、サントリーが攻め続けた時間を凌いで一気に相手ゴールまで迫った。この試合のハイライト場面だ。

 中盤から抜け出した突破は、DC(ディーシー)ことSOのダン・カーター。華麗なステップがこの場面で飛び出すのが心憎い。この王様をサポートし、さらなる大きな前進に繋いだのがラファエレだ。ボールを持ったDCとほぼ平行に並び、難しい位置取りだったが、際どいパスを受け取ると迷いなく背後のSH日和佐篤へバックハンドで繋ぎ、ボールの動きを加速させた。CTBリチャード・バックマンのしぶといトライをお膳立てした。

 ボールの出る早さや、縦へのアタックの流れ。司令塔もこなすラファエレだから、「その瞬間に、チームがどんなボールが欲しいか」を感覚的に分かっているのだろう。

 この二つのトライの間には、デイフェンスでも活躍。ゴールを背負い続けた苦しい場面で、サントリーFB松島に激しい、激しいタックルを浴びせた。この時の負傷で、頭にぐるぐる巻きにされた痛々しいテーピング姿で、その後も愚直に体をぶつけ続け失点を許さなかった。

 山梨学院大出身、サモア生まれのラファエレ ティモシー。

 仲間からはティムの愛称で親しまれるフットボーラーは、今季加わったばかりのチャンピオン・チーム神戸で、ゲームの質を高める貢献を続けている。