ラグビーリパブリック

13トライで81得点。サンウルブズ、最初で最後のプレシーズンマッチに大勝。

2020.01.25

4トライを奪う活躍でアピールしたサンウルブズWTBシオサイア・フィフィタ。(撮影/湯浅芳昭)



 個々の能力は高そうだ。
 高いレベルでのコミュニケーションを実現するには、もう少し時間がかかりそう。
 1月25日、サンウルブズが2020年シーズン初のプレシーズンマッチを戦い、チャレンジバーバリアンズ相手に81-28と大勝した。
 13トライを奪い、攻撃力の高さを見せつけた。

 立ち上がりにラインアウトからのサインプレーで先制点を許すも、福岡・小倉にあるミクニワールドスタジアム北九州のファンは狼たちのトライショーを見た。
 SOガース・エイプリルがトリッキーに走り、パスを散らす。天理大3年のWTBシオサイア・フィフィタが前半だけで2トライ。40-14の大差でハーフタイムを迎えた。

 後半もフィフィタのトライで始まった。
 その背番号14はさらにトライを決め、インゴールに入ること計4回。81-28で試合を終えた後、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれて地元で愛される「資さんうどん」の肉うどん1か月分を賞品として受け取った。
「思い切ってプレーしました。オールアウト、と考えていました」
 1週間後に控えた、レベルズとのスーパーラグビー開幕戦に向け、いいアピールになった。ゲームキャプテンを務めたCTB森谷圭介も「(フィフィタは)めちゃくちゃよかった。学生だということを忘れていました」と評価した。

 開幕前の最初で最後のウォームアップ試合を終え、大久保直弥ヘッドコーチは「準備を重ねてはきましたが、実際にゲームをみないとわからない部分があった」と話し、続けた。
「きょうのゲームがゴールではないのは全員分かっていると思います。スーパーラグビーが始まるぞ、とスイッチが入った。そんな手応えはあります」
 1週間後の相手を考えれば、セットプレーの多い試合にするより、ボールをよく動かし、走り回る。そのスタイルが、自分たちが勝利に近づく道と分かっている。
 その姿勢が多くのプレーから感じられたことが収穫だったようだ。

 コミュニケーション不足からアタック時にミスが起こることもあれば、防御を破られたこともあった。
 しかし、PRジャレッド・アダムスの機動力やCTBベン・テオのハードなプレー、途中出場となった齋藤直人の視野の広いプレーなど、選手個々の長所が見られたことは、今後チームを作る時の前向きなヒントになる。
 大勝という結果もうれしいが、指揮官としては、そちらの方が嬉しかった。

 2月1日に福岡・レベルファイブスタジアムでおこなわれる、開幕のレベルズ戦を戦えば翌週は試合がない。
 そんなスケジュールを考え、大久保ヘッドコーチは合宿初日から「開幕のレベルズ戦は、自分たちにとってのテストマッチ。そのつもりで準備をして戦い切ろう」と伝えてきた。選手たちは、その思いを胸にプレシーズンマッチを戦い、決戦への気持ちをさらに高めただろう。

「このメンバーで、(長く、多くの人に)忘れられないシーズンを送りたい。そのためにも、日々成長していきます」
 指揮官の思いは、全選手の思い。記憶に残るシーズンの第一歩を大きく踏み出すために、残り1週間、最高の準備を重ねる。


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