国内最高峰のラグビートップリーグで2連覇を狙う神戸製鋼では、期待の新加入選手が存在感を示している。
ブロディ・レタリック。ニュージーランド代表81キャップを保持する28歳のLOは、身長204センチ、体重121キロの身体を地上戦、空中戦で活かす。新天地の同僚からは、「フィットネステストは(比較的持久力の高い)BK並み」と驚かれたものだ。
本人は言う。
「神戸製鋼は、チームと会社のつながりを大事にしている。工場のスチールワーカーのようにハードワークしたいです。細かい部分をよくすると、よりハードワークができるようになります」
1月18日、静岡・ヤマハスタジアムで第2節に挑む。昨季3位のヤマハを36-24で下したこの日は、0-7で迎えた前半15分にトライをマーク。直後にダン・カーターがゴールキックを決めて7-7と同点に追いついたが、その形がインパクト抜群だった。
まずは敵陣ゴール前右で球をもらい、相手FLで南アフリカ代表のクワッガ・スミスを正面から跳ね飛ばす。さらにヤマハが誇る身長208センチのLO、リッチー・アーノルドのカバーもものともせず、ゴールエリアにグラウンディングしたのだ。
レタリックは守りでも光る。ハーフタイム直前には、自陣ゴール前右での相手ボールラインアウトをスティールした。
神戸製鋼の前から2番目に立ち、列のやや後方へ飛ぶボールに手をかけたのだ。ヤマハが得点源とするモールを組ませず、22-17という僅差でのリードを守った。
「(神戸製鋼のラインアウトでの防御は)徹底して真ん中と後ろ(のボール)を取られないようにしていた。(相手がそのように張るだろうと)予測はしていて、(その前のラインアウトでは)前に投げておびき寄せようとはしたんですけど……」
対するHOの日野剛志がこう悔しがるなか、当の本人は謙虚であり続けた。
「コーチがよく相手を分析し、いい計画を立ててくれました。空中でボールを獲れれば、相手のモールを防げると思いました」
後半20分頃には、自陣ゴール前左での相手ボールラインアウトからモールを組まれる。しかしレタリックは塊の奥へ長い腕を伸ばし、そのつながりを断った。
「モールディフェンスの目的はモールからボールを獲り返すこと」
元ニュージーランド代表アシスタントコーチのウェイン・スミス総監督の存在が注目される同部にあって、「今季のトップリーグが始まってからはまだウェインさんは来ていない。ウェインさん以外のコーチ陣も素晴らしい。今日もいまいるコーチが相手のセットピースに対し、いい計画を立ててくれた」とレタリックは強調する。
26日にはホームの兵庫・ノエビアスタジアム神戸で昨季準優勝のサントリーとぶつかる。ヤマハ戦の直後、前年度の決勝カードへの思いを淡々と述べた。
「来週のサントリー戦も楽しみです。1試合ずつしか考えていないので、これから次の試合に向け頭を切り替えたい」