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東京五輪候補の桑水流が福岡の女子新チームHCに 「持っている知識生かしていきたい」 

2020.01.15

桑水流裕策(写真右先頭)。東京五輪後もコカ・コーラでの現役続行を希望している(撮影:出村謙知)

ナナイロ プリズム福岡のヘッドコーチに就任予定の桑水流裕策(撮影:出村謙知)


 新たなコンセプトの“ハイブリッド・プロフェッショナル”チームとして福岡に誕生したナナイロ プリズム福岡の首脳陣に、リオ五輪時の男女キャプテンが顔を揃えることになった。

 14日、コカ・コーラ レッドスパークス所属の現役選手であり、東京五輪を目指す男子7人制日本代表第二次オリンピックスコッドに名を連ねる桑水流裕策が福岡市内で記者会見を行い、4月1日付でナナイロ プリズム福岡のヘッドコーチに就任する予定であることを明らかにした。
 同チームのGMは選手兼任のかたちで中村知春サクラセブンズ(女子7人制日本代表)主将が務めており、4年前のリオで男女セブンズ日本代表を率いた2人が新チームでタッグを組む。

 昨夏以降、本格的な7人制復帰を決め、「夢である東京オリンピック出場を目指している」という桑水流。その一方で、再びオリンピアンとして今年7月に世界最大のスポーツ祭典に参加できるかどうかは別にして、東京五輪以降もレッドスパークスの一員として15人制でのプレーは続けたい意向だ。
 ナナイロ プリズム福岡のヘッドコーチとしての契約は1年単位のものになることが想定され、初年度に関しては「オリンピック前は直接指導するのは難しいのではないか。オリンピック後はレッドスパークスに迷惑がかからない範囲で携わっていけたら」という。

 そんな超多忙な現役選手にヘッドコーチのオファーを出したことに関して、同チームの村上秀孝CEOは次のように説明する。
「一番は人間性の素晴らしさ。もちろん、日本を代表する7人制の選手として、あるいはトップリーグで活躍してきた実績も十分。たくさんの障壁を乗り越えた経験を若い選手たちに伝えていただきたい」
 当然ながら、中村GMの「強い希望」もあったという。

「私自身、いろんなコーチのもとでプレーしてきました。その経験から言って、いいコーチというのは、選手がどういうプレーをすべきか悩んでいる時にしっかりとした助言ができる人だと思っています。スキルもそうですが、グラウンド外のプライベートなことが原因で選手のパフォーマンスが落ちてしまうこともある。女性なので難しい面もありますが、しっかりコミュニケーションをとって、上から命令するだけではなく、しっかりフラットな目線で一緒に学びながら、私の持っている知識を生かしていきたい」

 指導者としての第一歩を踏み出すにあたり、そんなふうに自らの理想像を語る一方、具体的に影響を受けたコーチとしては、ジャパンを率いながら世界と戦った経験を持つ名将たちの名前を挙げる。
「オリンピックで4位になった時の瀬川さん(=瀬川智広・元男子7人制日本代表ヘッドコーチ)の言葉を借りるなら『見ている観客の方、全くラグビーを知らない人にもこのチームはこういうラグビーしたいんだなとわかってもらえるラグビー』。そして、向井さん(=向井昭吾・現コカ・コーラ監督/元日本代表監督)からいつも言われている『見ている人に感動を与えられるチーム』。私自身もそういうチームづくりを目指したい」

 すでに34歳。自らのセカンドキャリアを考える中で指導者の道は当然、視野に入っていたというが、実際にヘッドコーチ就任を打診されてからの数ヶ月間、逆にプレーヤーとしての成長も感じている。
「いままではプレーする側、自分がする視点でしか練習に取り組んでこなかった。コーチングを意識することによって、なぜこの練習をするのか細かいところまで理解できるようになったし、視野が広がった」

 なお、桑水流新HCは不在となるが、中村GMが参加するかたちでの同チームのトライアウトが1月18、19日に久留米市総合スポーツセンター補助競技場にて開催される予定。
 その後は、「5、6月に予定されているリージョナルトーナメントに出場して、太陽生命セブンズ入替戦に出る。そして、2021年には太陽生命セブンズシリーズに参戦する」(同GM)ことが目標となる。

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