明大ラグビー部は1月9日、大学選手権の決勝前最後の本格的な練習を実施。射場大輔は、そんな日も胸元などを引きちぎられたようなTシャツでプレーしていた。普段のタフなプレーぶりと重なるような。
「どうせ(すぐ)破れるので」
身長176センチ、体重92キロの4年生。大阪・常翔学園高出身のインサイドCTBは今季、寮長として他のリーダー陣とチーム文化を熟成させた。
掃除の精度が落ちたり、食事のプレートをキッチンへ返却する方法が忘れられていたりしたら、再徹底を促すよう何度もアナウンスしてきた。日常生活の引き締めをパフォーマンスにつなげようとするのが、HOの武井日向主将ら今季の最上級生の特徴だ。
グラウンド内では、SOの山沢京平らと適宜ベストなプレー選択を意識。競技への造詣の深さは、ともにミーティングをかわしてきたWTBの山村知也副将も認めるところだ。当の本人は「本当ですか?」と謙遜しながら、こう胸を張る。
「ポジション柄、内側の選手と外側の選手をまとめなきゃいけない。山沢は(手前に立つ)FWの方を見ていると思うので、少しでも負担を減らしてあげたい。外がどういう状況で、どんなタイミングでボールが欲しいか。その情報を共有して最適なアタックができるよう、僕中心に話し合っている感じです」
この日の明大八幡山グラウンドでは、「タックルなし」の約束で防御練習を実施した。ところが射場は、勢い余ってそのルールを破棄。突然、得意のロータックルを放ち、相手役の控え選手をひっくり返した。
「ハハハハ! 行っちゃいました」
2年連続14度目の日本一が期待される明大は11日、東京・国立競技場で決勝の舞台に立つ。対する早大のインサイドセンターは、12月の直接対決時に欠場していた中野将伍である。身長186センチ、体重98キロの大型ランナーで、明大にとっては要注意人物の1人。対面に入る射場も、自然な流れで気合いが入っているのだ。
「中野将伍が来る。そこは僕が止めないといけない。試合でも、ああいう感じでタックルに入れたらと思います。彼が入ることで早大らしいアタックができると思いますが、彼にファーストプレーからゲインさせないようディフェンスしていきたいです。彼の間合いでプレーをさせない」
中野の得意なオフロードパスを防ぐには、2人がかりでのタックルが必須。「彼(中野を倒す時)に限らず、ダブルタックルがキーです」とし、こう続けた。
「最初からラインスピードを上げて前に出て、1人目に入る時は下へ。2人目に入る時はボールに」
当日は、綺麗な白と紫のファーストジャージィをまとって緑の芝に立つ。仲間を震撼させたその一撃で、6万人収容のスタンドを沸かせるつもりだ。