あと数センチ右に飛んでいたら逆転勝利と優勝が手に入っていた。
WTB大野豪がキックパスを受けてトライを奪い、31-32と迫った後半42分、名城大SO永島幸希が蹴ったコンバージョンキックは左のゴールポストに弾かれて不成功となった。
1月6日、パロマ瑞穂ラグビー場でおこなわれた全国地区対抗大学大会で東京学芸大が名城大を32-31で破り、大会2連覇を達成した。
東京学芸大は体格で上回る相手に、自分たちの強みで勝負し続けて僅差の試合をものにした。
先制トライは前半8分。相手の攻撃を好タックルで封じ、マイボールを得る。そのスクラムから攻め続け、CTB山中宣里がトライ。14分にはラインアウト後のモールをいっきに押し切り、20分にはラインアウトのムーヴでLO島田広斗がインゴールへ入った。
先に15点を先行した東京学芸大は、女子5人を合わせても、全部員で28人。普段の練習から、できることは限られている。
CTB高橋建仁主将は、「部員数が少ないし、体も大きくない。いつも、こういうときにはどうする、ということを考えてプレーし、それを普段から共有するようにしています。その成果が出ました」と話した。
東京学芸大はさらに1トライを追加するも、名城大BKの鋭い走りに防御を破られ、走り切られるシーンも2度。前半を20-14で終えた。
さらに後半立ち上がり、「警戒していた」(高橋主将)アウトサイドを走られ、4分、6分とトライを重ねられて逆転を許す(20-26)。
それまで多く出ていた声のボリュームが、少し小さくなった時間帯だった。
そんな展開の中で、相手へ行きかけた流れをあらためて引き寄せることができた。
信じられる自分たちの武器を持っていたからだ。
15分、しぶとく守って相手の反則を誘うと、蹴り出したPK後のラインアウトからモールで前へ出る。LO島田がトライラインを越え、FB片岡倫がコンバージョンキックを成功。27-26と逆転した。
さらに33分、またも相手反則から敵陣深くでのラインアウトを得てモールを組む。練習通りに前に出て、最後はHO岡田陸斗がインゴールにボールを置いた。32-26として、これが決勝点となった。
勝利を呼ぶ大きな勝因となったラインアウトのリーダーを務めるLO島田は、「自分たちは体が小さいので、普段からリフトやスロー、抜けた球の処理まで、徹底してやっています。そして試合では奇襲を仕掛ける、相手の強いところを避けるなど、考えてプレーをしています」。
名城大をしっかり分析し、イメージ通りのプレーを重圧下で実践できたことで勝利をつかんだ。
2年連続で目標とする大会で頂点に立った高橋主将は、「ちょうど1年前から、この日、この試合で勝つことを目標にしてきました。相手も、4年生が最後の試合となるので必死だったと思います。そんな中で、ここまできたら絶対に勝ちたかった。目指していたところに到達できた。最高です」と喜びを口にした。