天理大に快勝した早大、東海大を破った明大。1月11日、新国立競技場で行われる大学選手権決勝は、対抗戦での対戦以来の早明再戦となった。12月の対戦は 明治36−7早稲田でメイジの圧勝。その直後に行われた両校キャプテン、明大・武井日向(写真右)、早大・齋藤直人の対談を掲載する。(聞き手・生島淳 協力・MOVECAFE https://www.movecafe.com)
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――早明戦の試合後の記者会見、齋藤主将は「すべての精度を上げていかないと」と話していました。
齋藤 そうです。大学選手権では、追いかけるような展開にならないよう、先手を取っていくしかないと思います。その意味では、試合の入り、後半の入りを意識していく必要があると思っています。
――明治は大学選手権連覇を考えた時、どんな収穫がありましたか。
武井 去年の同じ時期と比べて、自信を持って試合を進められていると思います。去年の対抗戦でも同じことを目指していたんですが、まだ詰め切れていないことが多くて。それが、大学選手権を勝ったことで、より高いところを目指そうという意識を共有できるようになって、それが実現できている気がします。
――11月は慶応に40ー3、帝京に40ー17、そして早明戦でも36ー7。強い。
武井 早明戦では前半戦でスコアは競っていましたが、フィジカルで食い込めているという手ごたえがあったので、焦りはありませんでした。後半は入りを意識して、スクラムでプレッシャーをかけるということを全員で意思統一出来たのが大きかったと思います。この成功体験を大学選手権で生かしたいですね。
――1970年代から早明戦を見てきましたが、ここまで隙のない明治は歴史上、記憶にないですよ。
武井 いやいや、まだまだです。ただ、同級生は真面目な選手が多いことは確かですね。
――明治といえば豪快。真面目というのは、ちょっとびっくりです。
武井 入学した時は自信がなかったせいか、「この学年は大丈夫なのか?」と思われていたんですが、学年が上がるにつれて分かってきたのは、みんなの真面目さがチームの強さにつながってきた気がします。ポジションリーダーの責任感も強いし、みんな練習に対しても熱い。4年間で隙がない学年になれたかと思いますね。
――早稲田はどうですか?
齋藤 とにかく個性が強い学年です。下級生の時からAチームに絡んでいた選手が多いので、ひとりひとりの向上心は相当強いですよ。ただ、みんなキャラが濃いし、ラグビーに対しての考えも熱いので、それをチームの方針に沿って、どうまとめていくのかが大学選手権での課題になると思います。
――より上を目指すうえで、おふたりとも、選手権に向けて監督とのコミュニケーションがより重要になってきそうですね。監督はどんな存在ですか。
齋藤 相良監督とは、頻繁に話をします。日ごろは穏やかですし、決して口数は多いわけではありませんが、ビシッと言ってくれる時は、言ってくれるので引き締まりますよね。いま、大学選手権に向けて危機感を共有できていると思います。ラグビーのことだけではなく、プライベートのことでも相談に乗ってもらってます。
武井 澄憲さんとはプライベートの話はしたことないなあ。
齋藤 年齢近いのにね。
武井 いい距離感が保ててると思いますし、やっぱり、優勝を狙うマインドセットを植えつけてくれたのは澄憲さんですね。組織としてどんなビジョンを描き、優勝を実現するために年間計画をコーチ陣と選手が共有して、いま、何にフォーカスすべきかを常に明確にしてくれてます。
――大学選手権で勝ち切るためには、おふたりのプレーも重要になってきます。斎藤主将は、40日間でどう成長していきたいですか。
齋藤 大学選手権が終わってからはサンウルブズに合流予定ですが、今のままでは上のレベルでは通用しないと痛感しています。正直なところ、早明戦では普段とは違うプレッシャーを感じながらプレーをしていたんです。
――チームだけではなく、斎藤主将の現在地もあぶり出されたというか…。
齋藤 そうなんです。幸い、40日間でまだ成長できるチャンスがあるので、なんとか自分の成長がそのままチームの成長につながるように、ひとつひとつの練習を意識していきたいです。
**本編はラグビーマガジン2月号に掲載**
取材が行われたのは早明戦直後の平日、新宿にて。新宿へは「仲間と飲みにくることもあります」と明大・武井。早大・齋藤は「ほとんど来る機会がありません」。シーズンの重要な時期にも関わらず、二人がこのような取材に応じてくれたのは、ラグビーファン、両校互いへの敬意からに違いない。
対談中もその前後も、武井は穏やか、齋藤はにこやかで、二人とも落ち着いた印象だった。ピッチではどのように化けるのか。早明が決勝で対決するのは、なんと23年ぶり。帝京連覇時代、関東学院と早大のライバル時代を超えての、頂上決戦となる。